フランス上院は11月19日、新たな動物福祉法案を、賛成332、反対1、棄権10で可決。マクロン大統領が署名すれば、同法が成立する。ペットショップやオンラインでの犬猫の販売が禁止されるだけでなく、水族館でのイルカショー等も禁止の対象となった。
フランスでは、半数の人が1匹以上のペットを飼っており、猫が1,100万匹、犬が900万匹、馬が100万匹もいるという。その上で、毎年10万匹以上のペットが捨てられていることが今回の立法の大きな背景となった。
新法では、2024年以降、ペットショップでの犬猫販売が禁止。公道から見えるペットショップでの動物の展示も禁止される。オンラインでは、ブリーダーが、政府の認定を受けたオンラインページで販売する場合のみが許可。認定を受けていないオンラインページで販売した場合は最大7,500ユーロ(約100万円)の罰金となる。
さらに、ペットの購入または無償譲受では、新たな飼い主が「当該動物種の固有のニーズに対するコミットメントと知識がある」と宣言する証明書に署名することが義務化される。証明書の詳細内容は今後政令で定める。未成年者がペットを購入する場合には、親権者の同意も義務化される。
エンターテイメント目的でも、サーカス巡業で使用するための動物の入手と飼育も2年以内に禁止。「見世物」ではない形でサーカス巡業で用いる動物の飼育も7年以内に禁止される。これにより現在飼育されている450頭のライオンやトラを含む800頭の野生動物の飼育が禁止され、政府は動物を遺棄しないための代替手段を講じる。プライベートなパーティやディスコでの野生動物の使用も禁止される。動物園や農場を除き、テレビ番組で野生動物を紹介することも禁止となった。ポニーの乗馬も禁止。行きた脊椎動物を郵送することも禁止。
これにより、水族館でのイルカショー等を目的とした海洋哺乳類の飼育・繁殖動物ショーも5年以内に禁止。現在フランスでは、2つの施設のみでイルカ21頭、シャチ4頭が飼育されている。
他にも、以前から問題視されていたミンクの養殖は即刻閉鎖が盛り込まれた。これによりフランス最後のミンク養殖場の閉鎖が決まった。但し、閉鎖後の養殖場では、「健康で定期的に監視されている」と主張する形で飼育が継続されており、憲法裁判所に持ち込む構えをみせている。
罰則では、動物を虐待して死亡された場合は、5年以下の懲役と75,000ユーロ以下の罰金が科される。また、深刻な虐待の場合は、3年以下の禁固刑と45,000ユーロ以下の罰金が科せらる。これらの行為を未成年者の眼前で行った場合や、動物の飼い主が行った場合は、刑罰が重くなる。動物の生命を故意に攻撃した場合の罰則や、死の危険性がある場合の遺棄に対する罰則も新たに設けらた。
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