投資運用世界大手米ブラックロックは11月15日、保険業界の年次調査レポートの第10版を公表。保険会社のエグゼクティブの95%が、気候変動は今後2年間、ポートフォリオに甚大なインパクトを与えると懸念を示した。
同調査は、26カ国の保険業界のエグゼクティブ362人を対象に、2021年6月から7月に実施。対象企業の運用資産は27兆米ドル(約3,100兆円)で、保険業界の3分の2を占める。
同レポートでは、世界の保険業界で短期志向の投資からESG投資へのシフトが起きていると分析。保険会社にとって最大の懸念事項は地政学リスク。だが、気候変動による物理リスクに直接的に晒される保険業界は、サステナビリティ課題のインパクト増大に伴い、より利回りの大きいアセットクラスへのポートフォリオ分散が求められているとした。
実際に回答者の50%は、ESG投資へのアロケーションの転換は、より良いリスク調整後リターンの獲得のためと回答。33%は、潜在的なダウンサイドリスクになり得るとし、環境リスクを投資戦略における重大な脅威と認識していた他、回答者の50%は、過去12ヵ月間、ESG観点での懸念を理由に投資を却下していた。
一方、回答者の60%は、リスク・アペタイトが今後2年間増加すると予測。低金利が続く中、ハイイールド債等への投資が必要と考えられているという。特に未公開株では、アロケーションの転換が起きており、2023年までに、未公開株のアロケーションは、現在の11%から14%に達する見込みだとした。一方、同アロケーションが5%を下回ると回答した保険会社はなかった。
リスク・アペタイトが増加しても、流動性は依然優先事項。回答者の41%は、翌年の現金アロケーションを増加させるとし、ETFも流動性を管理し、利回りを高まる効果的な手段として注目を集めた。回答者の87%は今後1年から2年間、ETFアロケーション増加の主な要因は、流動性マネジメントだと回答した。
その他、新型コロナウイルス・パンデミックの影響を受け、DXの加速も保険会社の優先事項と分析。デジタル化は、カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)達成に重要な役割を担うとし、回答者の41%は、気候変動リスクや指標を統合するテクノロジーへの投資を増加させるという。また回答者の56%は今後2年間、アセット・ライアビリティ・マネジメント(ALM)に注力するとし、45%は、マルチ・アセット・リスク・マネジメントを優先するとした。
【参照ページ】Ninety-Five Percent of Global Insurers Believe Climate Risk is Investment Risk
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