国立環境研究所と農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)等が参加した8ヵ国20の研究機関からなる国際研究チームは11月1日、将来の気候変動が世界の穀物収量に及ぼす影響について最新の予測を発表した。分析結果は11月2日に学術誌「Nature Food」に掲載された。
今回の分析結果は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が現在作業を進めている第6次評価報告書(AR6)の第2作業部会報告書に向けて公表されたもの。2014年に実施された前回予測以来7年ぶりの分析となった。
結果内容では、世界の穀物収量に対する気候変動の影響は、前回の予測と比較して、その影響の大きさが拡大し、とうもろこし、大豆、コメの収量の大幅な悪化が予測される結果となった。気候変動が進行するシナリオ(SSP 585)の場合、今世紀末(2069-2099年)のとうもろこしの世界の平均収量は前回の予測では1%増だったが、今回は1983年から2013年の比で、24%低下。
大豆は、前回は15%増だったが、2%低下に転落。コメも23%増だったが、2%増へと大幅に減少した。一方、将来のコムギ収量は前回の予測より大きな増加を示し、前回の9%増から今回では18%増となった。
収量変化のタイミングでは、小麦では2020年代後半から、とうもろこしでは2030年代後半から顕在化する見込み。前回結果との比較では10年以上早まった。
同研究では、気候変動の影響に焦点を当てるため、栽培地域の分布や栽培技術は将来も現在と同じと仮定。今後、国際研究チームでは、気候変動により予測される影響をどの程度まで軽減させることができるのか、発展途上国での既存の増収技術の普及や播種期の移動などの対策技術を導入した場合の効果について評価を今後進めていく予定。
【参照ページ】最新の予測では世界の穀物収量に対する気候変動影響の将来見通しが顕著に悪化
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