欧州委員会は11月12日、EU加盟国のデジタル進捗度合いを評価した「デジタル経済・社会指数(DESI)」の2021年結果を発表した。首位はデンマーク。北欧諸国が上位。最下位はルーマニアだった。同ランキングは毎年発表されている。
DESIは、EUの政府統計Eurostatと、専門調査の双方が情報ソース。人材・スキル、ブロードバンド接続、企業のデジタル技術統合、デジタル政府の4つの観点から各国情報を評価し、スコアリングしている。今年版は、新型コロナウイルス・パンデミックがデジタルサービス利用等に与えた影響の分析が間に合っておらず、2022年版に盛り込む予定。
(出所)EU
人材・スキルでは、EUの個人の56%が少なくとも基本的なデジタルスキルを持っている状況。そのうち、ICTスペシャリスト就業者は前年の790万人から、今回の840万人へとわずかに増加した。一方、企業の55%が、2020年にICTスペシャリストの採用が困難だったと回答しており、人手不足感が高まっている。EUは、「デジタルの10年」政策の中で、人口の80%が基本的なデジタルスキルを持ち、2,000万人のICTスペシャリストを確保するという目標を掲げている。そのため、EU理事会で採択された「復興・強靭化計画」では、デジタル投資に17%(1,170億ユーロ中200億ユーロ)を割いており、今後の成長が期待されている。一方、ジェンダーギャップは大きく、ICTスペシャリストのわずか19%が女性。
コネクティビティでは、EUの59%の世帯で「超大容量ネットワーク」(VHCN)が利用可能となった。しかし2030年目標として掲げている100%にはまだほど遠い。農村部のVHCNカバー率は、2019年の22%から2020年には28%に上がった。5Gは13の加盟国で商業的に開始されており、主に都市部をカバー。EU理事会が採択した「復興・強靭化計画」でも130億ユーロの予算がコネクティビティに割かれている。
企業のデジタル統合では、クラウド活用が大幅に増加。2018年には利用率が16%だったが、2020年には26%まで上がった。特にやはり大企業が早い。EUは2030年目標では、まず基本レベル以上のデジタル技能を備えている中小企業を2020年の60%から、2030年には90%に引き上げ、高度スキル技能でも75%にすることを掲げている。同分野には、「復興・強靭化計画」予算の180億ユーロが投じられている。さらに、調査対象企業の66%が、環境負荷低減でICTソリューションを利用していることもわかった。
デジタル政府では、大きな遅れが指摘された。同分野には430億ユーロが投じられている。
EUでは、復興支援ファシリティ(RRF)の一環として、EU加盟国に対し、復興支援計画から得られる国家基金の少なくとも20%をデジタル分野に費やすことが課されている。
【参照ページ】Digital Economy and Society Index 2021: overall progress in digital transition but need for new EU-wide efforts
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