欧州委員会は11月17日、欧州グリーンディール戦略を実現するため、森林、廃棄物、土壌の分野で新たな個別戦略を採択した。サーキュラーエコノミー、森林保護、気候変動緩和をさらに進める。
まず、森林では、世界の森林破壊と森林劣化を抑制するための新たなEU規則制定を目指す。具体的には、大企業に森林破壊デューデリジェンスを義務付けるとともに、森林破壊・劣化リスクに関し、世界各国をレベル評価。リスクの高い国を特定する。リスクの高い品目としては、大豆、牛肉、パーム油、木材、カカオ、コーヒーを挙げた。他の主要国にも協調を求めに行く。
次に、廃棄物輸送規則の改正。廃棄物輸出の規制強化、廃棄物を資源循環させるための効率的なシステムの構築、廃棄物密売への処罰強化を掲げた。輸出では、経済協力開発機構(OECD)非加盟国への廃棄物輸出は、当該国の明確な受け入れ意思があり、持続可能な管理ができると確認された場合にのみ許可される。OECD加盟国への廃棄物輸出もモニタリングの対象となり、環境問題を引き起こした場合には停止される場合もある。さらに、EU域外に廃棄物を輸出するEU企業は、廃棄物管理に関する環境観点での全て外部監査が義務付けられる。
一方、廃棄物管理に関する手続は簡素化し、企業の新規参入を促す。廃棄物密貿易では、欧州不正対策局(OLAF)に、EU廃棄物輸出強化グループを新たに設置することも盛り込んだ。国際的な捜査力を高める。
3つ目の土壌戦略では、土壌の保護、回復、持続可能な利用のための具体的な方策を含む枠組みを設定。任意もしくは法的拘束力のある複数の方策を提案した。この戦略は、農地の土壌炭素の増加、砂漠化対策、劣化土地・土壌の回復を目的とし、2050年までにすべての土壌生態系を健全な状態にすることをゴールとしている。2023年には土壌健全法も起案する考え。
【参照ページ】European Green Deal: Commission adopts new proposals to stop deforestation, innovate sustainable waste management and make soils healthy for people, nature and climate
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