第26回国連気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)は11月14日、パリ協定の最後のルール未決着分野だった「第6条」のルールを最終決定した。これによりパリ協定のルールブックが6年越しに決着した。
【参考】【国際】COP26「グラスゴー気候協定」採択し閉幕。1.5℃目標がデファクト化。化石燃料廃止への表現も(2021年11月15日)
最大の懸案だったカーボンクレジットの販売国と購入国の「二重計上」の問題では、販売国は他国に販売した場合、自国の削減目標にはカウントできないことを明確化した。交渉では、ブラジルが過去に販売後も自国の削減分への算出に入れられるべきと主張していたが、日本政府が打開案を提示。二重計上は厳禁となり、クレジットが国内で生成された国は、クレジットが他国に移転した場合に、自国での削減カウントはできないことが決まった。
京都議定書下で過去創出されたクレジットの国別削減目標でのカウントについては、2013年以降に創出されたクレジットのみカウントできることが決まった。これにより広大な熱帯雨林地帯を抱えるブラジルは、カーボンクレジットを大幅に創出していくことに意気込みをみせた。一方、過去のオフセットへの依存が高まることを懸念する国々からは、早速懸念の声も出ている。今回の決定により、環境NGOのNewClimate InstituteとOko-Institutの分析によると、二酸化炭素排出量3.2億t分のクレジットが市場に供給されるとみられる。自発的炭素市場(ボランタリー・カーボン市場)にも同様のルールが適用されることが決まった。
その一方、創出された世界のカーボンオフセットの2%は除却されることも決定。これにより、カーボンオフセットに依存しすぎることを避け、実際の削減努力を強化する方針も決めた。
カーボンオフセット取引への課税については、非課税との扱いで決定した。こちらは、基本的に購入者としての立場が濃い先進国側が主張していた。但し、オフセットからの収益の5%は、発展途上国の気候変動適応を支援する「適応基金(AF)」に拠出することも決定し、発展途上国への配慮もみせた。
【参照ページ】Outcomes of the Glasgow Climate Change Conference - Advance Unedited Versions (AUVs)
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