仏NGOのリクレイム・ファイナンスは11月2日、ネットゼロのためのグラスゴー金融同盟(GFANZ)を構成するNet-Zero Asset Owner Alliance(NZAOA)、Net Zero Asset Managers(NZAM)、Net-Zero Banking Alliance(NZBA)のカーボンニュートラル化の要件が緩すぎると批判する分析レポートを発表した。それに対し、NZAOAは懸念に回答する声明を即日発表。同NGOは、NZAOAに回答に賛意を示した。
【参考】【国際】ネットゼロのためのグラスゴー金融同盟(GFANZ)正式発足。マーク・カーニーが議長(2021年11月4日)
同レポートでは、NZAOAやNZAM、NZBAが加盟機関に求める目標設定おいて、NZAMは2050年までの中間目標の設定がないことを、NZBAは3年間もの目標設定の猶予期間を設けている点を批判。さらに、NZAOAも含め、排出量総量での目標設定がないこと、化石燃料に関する明確な方針がないこと、カーボンオフセットを容認していることを批判した。
同NGOは公表の前に、NZAOA等に同レポートを通知。そのため、NZAOAはレポート公表直後に反論声明を出す形となった。まず、NZAOAは短期目標の設定も加盟機関に求めており、加盟60機関のうち、2025年目標を発表している加盟機関も29社になったと言及。加盟機関はNZAOAに進捗状況の報告義務もあり、第1回の進捗報告書を6月30日までに提出したことを強調した。
【参考】【国際】Net-Zero Asset Owner Alliance、初の進捗レポート発行。2025年までにCO2を25-30%削減(2021年10月22日)
また化石燃料に関しては、石炭エネルギーの廃止を要求していることを強調。石油とガスに関しては、ジャスト・トランジション(公正な移行)を進めるため、科学的なノー/ロー・オーバーシュート・パスウェイを設定することを目標に掲げ、各国政府にも働きかけていると回答した。
カーボンオフセット活用や二酸化炭素除去(CDR)への支援に関しては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のモデルや、国際エネルギー機関(IEAの)の「NZE 2050」シナリオの中で、ネガティブエミッション技術(NET)を必要としていることに沿ったものと説明。ネガティブエミッションに関するポジションペーパーも9月に発行したと回答した。CDR技術の必要性を低減し、排出そのものを削減することが第一義とした上で、CDRなしで1.5℃の達成はほぼ不可能と認識しているとも伝えた。
【参考】【国際】Net-Zero Asset Owner Alliance、ネガティブエミッションでポジションペーパー発行(2021年9月26日)
石炭ダイベストメントを強要していないことについては、エンゲージメント戦略の重要性を強調。時間をかけてエンゲージメントを行っても無駄な場合は、ダイベストメント等の資産配分が最終手段となると伝えた。
NZAOAの規定を遵守しない署名機関に関しては、一定の猶予期間を経て、最終的に除名されることにも言及した。
この回答を受けてリクレイム・ファイナンスは同日、声明を発表。回答を歓迎した。化石燃料企業へのエンゲージメントは、もはや時間の無駄であり、即刻ダイベストメントすべきと主張。化石燃料の廃止をしなければ「公正な移行」もありえないと述べた。
【参照ページ】NET-ZERO ASSET OWNER ALLIANCE RESPONDS TO RECLAIM FINANCE REPORT
【レポート】IT’S NOT WHAT YOU SAY, IT’S WHAT YOU DO
【参照ページ】Reclaim Finance responds to Net Zero Asset Owner Alliance
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