米環境NGOブルー・フォレスト・コンサベーション(BFC)は10月26日、米森林局と世界資源研究所(WRI)の支援を受け、2回目の「フォレスト・レジリエンス・ボンド(FRB)」として「ユバII FRB」を発行すると発表した。発行額は2,500万米ドル(約28.5億円)。
同債券は、カリフォルニア州のタホ国有林の山火事リスクを防止するための自然回復を資金使途。今回は、48,000エーカー(約19,000ha)の森林を保護する。これにより、近隣の地域コミュニティのレジリエンスや、水の安全保障にもつながる。
FRBの仕組みは、債券発行で資金を集め、現地の森林活動団体に資金を提供。これにより現地での森林保全・回復活動を行う。それにより便益を得た受益者からの支払いが債券返済の原資産となる。債券投資家は、年金基金、保険会社、財団、インパクト投資家等が想定されている。すでに2019年に1回目の発行「ユバ FRB」で400万米ドル調達し、15,000エーカー(約6,000ha)の森林を保全した。
今回の「ユバII FRB」では、現地活動をナショナル・フォレスト・ファンデーション(NFF)が引き受ける。また、ユバ水道局(YMA)が受益者の役割を果たす。同庁は、2018年のパイロットプロジェクトでも150万米ドルを拠出していたが、今回はさらに大規模なプロジェクトとなるため600万米ドルの拠出にコミットした。さらに州政府や連邦政府も資金を投ずる。
さらに今回、企業も受益者として参画することとなった。仏食品大手ダノンの米子会社ダノン・ノースアメリカ傘下の植物由来食品・飲料シルクは、ボンネビル環境財団とパートナーシップを組む形で、ユバIIプロジェクトに資金を拠出する。企業の参画に関しては、米森林局(USFS)も「Innovative Finance for National Forests」プログラムを通じて補助金を支給し、WRI、ボンネビル環境財団、米国水道協会(AWWA)、BFCが企業参画のプロジェクトを進めていた。
ユバIIプロジェクトの運営では、2019年に設立された「North Yuba Forest Partnership(NYFP)」も支援を提供する。NYFPは、BFC、NFF、USFS、YWA、South Yuba River Citizens League(SYRCL)、シエラ郡、Camptonville Community Partnership、Nevada City Rancheria、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)の9組織で構成され、ノース・ユバ川流域で275,000エーカー(約11万ha)の自然回復力の向上を進めている。ユバII FRBは、この目標を達成するための一環としても行われる。
近年、カリフォルニア州では、大規模な山火事が頻発。2021年に発生した「ディキシー・ファイア」では、カリフォルニア州史上最大の被害をもたらし、約100万エーカーの森林を焼失。鎮火には6.1億米ドル以上の費用が投じられた。米農務省は、森林管理に新たな資金を導入するために広範な施策を模索しており、今回事例の一つが誕生した。
【参照ページ】RELEASE: New Forest Resilience Bond will Finance $25 Million of Restoration to Reduce Wildfire Risk on the Tahoe National Forest in California
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