英クワシ・クワーテング・ビジネス・エネルギー・産業戦略相は10月26日、英国での新規原子力発電プロジェクトを促進するための新たな資金調達スキーム案を発表した。現行の差額決済契約(CFD)制度に替え、建設段階から資金調達コストを下げる仕組みを導入する考え。英政府は、カーボンニュートラルを早急に実現するため、再生可能エネルギーとともに原子力発電所も重視する考えを示している。
【参考】【イギリス】政府、ネットゼロ戦略発表。2035年までに全電力で脱炭素化。農業イノベーションも(2021年10月20日)
英政府は今回、現行のCFD制度では、原子力発電所建設時のコスト負担が、プロジェクトの足枷になっており、日立製作所のウィルファ・ニュイド発電所プロジェクトや、東芝のムーアサイド発電所プロジェクトが頓挫したと指摘。テムズ・タイドウェイ・トンネルやロンドン・ヒースロー空港ターミナル5で実績のある「規制資産ベース(RAB)」モデルを原子力発電所にも適用する案を打ち出した。
RABモデルは、事前に経済当局からの承認を受け、インフラ需要家に対し建設時から資金を調達する代わりに、インフラ使用時の料金を抑制する制度。この仕組みにより、英国の年金基金や保険会社等の機関投資家、さらには個人投資家の資金を活用し、海外のデベロッパーの資金調達依存を削減することを狙う。これにより、原子力発電の導入が進めば、将来に渡って消費者負担を300億ポンドから800億ポンド下げることができると見通した。小型モジュール炉(SMR)型の原子力発電所でもRABモデルを適用していく意思もみせた。
原子力発電プロジェクトへの、RABモデル適用に関しては、英会計検査院が、消費者のコストを削減しながら原子力への投資を誘致するための新たな資金調達モデルを評価するよう政府に勧告しており、英政府は、2019年夏から原子力の規制資産ベース(RAB)モデルの使用について協議していた。
【参照ページ】New finance model to cut cost of new nuclear power stations
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