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【アメリカ】バイデン大統領、大型政策「Build Back Better」発表。社会保障強化。自社株買いにも課税

 米ジョー・バイデン大統領はは10月28日、米国での中産階級を再建し、生活と労働環境を改善するための新たな政策パッケージ「Build Back Better」フレームワークを発表。予算を確保するため新立法「Build Back Better Act」の成立も目指す。バイデン大統領は、すでにインフラ投資・雇用法案も発表しているが、それに加えた新政策となる。

【参考】【アメリカ】バイデン大統領と超党派グループ、60兆円のインフラ投資・雇用法案で合意。200万人雇用創出(2021年8月4日)

 今回の予算は、総額1兆8,500億米ドル(約210兆円)の大型予算。子供、高齢者、障害者、医療、住宅、教育、気候変動対策等が内容に盛り込まれている。財源では、大企業と富裕層に絞った増税で1兆9,950億米ドル(約227兆円)を確保する考え。

 子供に向けては、まず、3歳児と4歳児を対象に保育園や幼稚園の授業料の無償化。対象は600万人にも及ぶ。また、州の中央値の所得の2.5倍までの世帯で、親が勤務している、もしくは疾病中等で支援が必要な世帯を対象にキッズシッターの費用を所得の7%以下に抑えるため、補助金を支給する。対象は2,000万人にもなる。また、年収1,500万円以下の世帯に対し、税控除を行う。子供のいない低所得者層に対しても、所得税を一部控除する「拡張勤労所得税控除」を1年間延長。対象者は1,700万人。これらの予算規模は、6,000億米ドル。

 気候変動対策では、家庭用の再生可能エネルギー、蓄電バッテリー、電気自動車(EV)・燃料電池自動車(FCV)、エネルギー製造業に対する税額控除を10年間拡大。これだけで総額3,200億米ドルの支援を見込む。また、気候変動適応のため、異常気象対策等で1,050億米ドルの追加予算も確保。R&D、製造、サプライチェーンには1,100億米ドルを用意。政府機関による再生可能エネルギー調達支援でも200億米ドルを盛り込んだ。

 医療では、アフォーダブル・ケア法の保険料控除を2025年まで延長。これにより、これまで健康保険に加入していなかった300万人以上の加入を見込む。また、制度が導入されていない州でも、400万人の無保険者に対し、同法での保険料控除を適用する。さらに、これまで保険対象外だった聴力の費用もカバーし、特に高齢者の医療費を支援する。予算規模は1,650億米ドル。

 高齢者や障害者を持つ世帯に対しても、公的医療制度のメディケイドを通じて、質の高いケアを安価に受けられるようにし、在宅介護従事者の労働条件も改善する。予算規模は1,500億米ドル。

 住宅では、農村部を中心に、住宅確保の高騰を抑えるため1,500億米ドルを用意し、公営住宅の建設・運営や、賃料や頭金の補助金として提供する。予算規模は1,500億米ドル。

 教育では、人種マイノリティを対象に、高校以上の教育と働く力の講習で400億米ドルを用意。コミュニティカレッジ、専門職教育、インターンシップ等の機会を提供する。

 移民の救済のためにも、1,000億米ドルを用意し、滞留期間の短縮、法的代理権の拡大、亡命制度と国境処理の効率化、人道支援等に用いる。

 一方、財源では、まず、経済協力開発機構(OECD)とG20で合意した大企業に対する15%以上の法人税適用で、3,250億米ドルの増税を見込む。さらに、企業の自社株買いに対しても、購入額の1%に課税することで、1,250億米ドルを見込む。さらに、雇用や利益を海外に移転させる企業への支援を中止することで、3,500億米ドルの歳出減や歳入増も勘定に入れた。

【参考】【国際】136ヶ国・地域、OECD/G20の最低法人税率15%及びデジタル課税に最終合意。画期的(2021年10月9日)

 さらに、富裕層に対しては、所得が4,000万米ドルを超える人に0.02%の増税を行い、2,300億米ドルの歳入を確保。さらに富裕層のメディケア支払い逃れも防ぎ、2,500億米ドルを確保。富裕層の過剰事業損失に対する税額控除の低減や、脱税防止により、追加で5,700億米ドルの歳入を見込んだ。トランプ大統領時代に導入された高齢者の医薬品保険料増につながるリベートルールの撤廃でも、1,450億米ドルを考慮した。

【参照ページ】Build Back Better Framework
【参照ページ】President Biden Announces the Build Back Better Framework

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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