国際オリンピック委員会(IOC)は10月24日、スコープ1、2、3での二酸化炭素排出量を2030年までに50%削減する新目標を発表した。IOCは1月、同45%減の目標を掲げていたが、早くも目標を引き上げた。
IOCは1月の発表の際、2024年までに30%の削減という中間目標も設定していたが、今回は中間目標は据え置いた。IOCは目標の基準年として、2016年から2019年の4年間の平均を用いている。IOCの排出量はオリンピックの4年が周期となることが背景。
IOCは、2024年には「カーボン・ネガティブ(気候ポジティブ)」を標榜している。具体的には、2030年までにスコープ1、2、3で50%削減を実現するとともに、残排出量は全てカーボンクレジットでオフセットする。その上で、IOCの活動「オリンピック・ムーブメント」を通じて、気候変動に対抗するメッセージを発信し、幅広いステークホルダーに気候変動対策を呼びかけていく。オフセットでは、独自に進めている「オリンピック・フォレスト・プロジェクト」が中心となる。
今回の目標引き上げに関しては、8月に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次報告書を挙げた。また、「スポーツは、冬でも夏でも、ますます影響を受ける。不安定な降雪や気温はウィンタースポーツに影響を与え、夏の猛暑の増加はアスリートやイベント主催者、ファンの健康を脅かす」と言及した。
【参考】【国際】IPCC、第6次報告書のWG1報告書公表。2040年に1.5℃上昇。2100年に2m海面上昇のリスク(2021年8月10日)
同目標を受け、IOCは、夏季オリンピックと冬季オリンピックの開催都市にも、気候ポジティブを契約で縛る。具体的には、スコープ1、2、3での排出量を最小化した上で、残量はオフセットを義務化。また開催後も、施設運営等でのゼロ・カーボンを義務化する。すでに2022年の北京冬季オリンピックでは、競技会場が100%再生可能エネルギーのみで運営。2024年のパリ夏季オリンピックは、気候ポジティブを実現する最初の大会となる。
【参照ページ】IOC leading the way on climate change – commits to cutting its greenhouse gas emissions by 50 per cent by 2030
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら