仏ITコンサルティング大手キャップジェミニは10月12日、北米・欧州・アジア・オーストラリアを対象に電力・ガス市場を分析した2021年版レポート「世界エネルギー市場展望(WEMO)」を公表した。
同レポートは、公開情報と同社の知見、仏法律事務所De Pardieu Brocas Maffei、フィンランドのリサーチVaasaETT、仏リサーチEnerdata提供の規制・消費者行動・市場データ等を組み合わせて分析。エネルギー移行の進捗や将来トレンドの予測結果等をまとめた。
電力スポット市場については、設備容量の小ささやガス価格の高騰、欧州での炭素価格の価格高騰、継続的な電力需要の高まりを受け、記録的に高い水準にあると指摘。それでも2020年には、太陽光発電と風力発電の設備容量の拡大で、再生可能エネルギーは発電量全体の10%を占めるまで成長し、発電コストも低下した。一方、2021年には、貴金属、設備、輸送価格、金利の上昇に伴い、発電コスト低下の傾向は、反転する可能性があるとも指摘した。
世界の二酸化炭素排出量で15%の削減ポテンシャルのあるグリーン水素については、グレー水素比で3倍の価格だと現状を説明。しかし、再生可能エネルギー電力や電解槽の低コスト化により2030年までに同等の価格になる可能性を示唆した。
電力・ガス小売市場は2021年、大きく回復。他方、ステークホルダーからの石油・ガスへの脱炭素化プレッシャーが、電源構成の多様化に繋がり、特に欧州の国際石油企業(IOC)までもがカーボンニュートラル化を推し進めている。
エネルギー・電力企業については、ステークホルダーからの期待と競争市場における事業転換のバランスを取ながら、迅速な脱炭素化とエネルギー転換を進めていると分析。再生可能エネルギーでの競争が激化する一方、再生可能エネルギーへの転換でも、エネルギー安全保障や手頃な価格を妥協しないことが重要だと語った。
また同レポートは、気候変動対策を進めつつ、エネルギー安全保障と手頃な電力価格を確保するための推奨案も提示。まず社会、企業、消費者の適応期間を考慮し、野心的かつ現実的なエネルギー移行計画を設定すべきとした。
さらに太陽光発電や風力発電、電池、グリーン水素等の低炭素技術や再生可能エネルギー発電所の建設における障害等の調査の加速、気候変動アクションの効果の測定、サイバーセキュリティへの強く注意を払うこと等を推奨。特に金融機関に対しては、企業間比較ができるよう、追加での基準を儲けることを勧めた。
【参照ページ】Capgemini’s World Energy Markets Observatory annual report 2021
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