環境情報開示を推進する国際NGOのCDPは10月27日、世界の運用ファンドのうち、パリ協定の2℃未満目標に合致しているファンドはわずか0.5%という分析結果を発表。機関投資家を酷評した。
今回の分析では、欧州投信投資顧問業協会(EFAMA)のデータを活用し、欧州、米国、アジアで設定されたオープンエンド型の株式もしくは債券ファンド16,500本以上を調査。総資産は27兆米ドル(約3,000兆円)で、世界のファンド資産全体の3分の1以上を占める。
そのうち、「2℃を十分に下回る」と整合性のあるファンドは、わずか158本しかなかった。1.5℃目標水準のファンドは102本あった。さらに、スコープ3の排出量までを考慮すると、パリ協定と整合するファンドの割合は0.5%から0.2%にまで減少し、65本だった。他方、62%を占めるファンド8,000本以上の気温上昇水準は2.75℃上昇だった。
機関投資家の中でも、パリ協定との整合性を意識する動きは強まってはいる。9月には、220の機関投資家が、世界1,600社に科学的根拠に基づく削減目標(SBTi)の設定を要求する声明を発表。CDPの10月の進捗レポートでも、気候変動をテーマにしたファンドが引き続き堅調に推移しており、2021年第1四半期の欧州のファンドへの設定額の半分以上が「サステナブル」基準に合致し、パリ協定に沿ったファンドの数が大幅に増加している。
【参考】【国際】CDP、世界1600社にSBTi承認取得を要求で共同声明。220機関投資家、3200兆円賛同(2021年9月29日)
今回の結果を受け、機関投資家の中で、投資ポートフォリオでの1.5℃整合性の追求の動きは、ますます強まるとみられる。オランダ公務員年金基金ABPは10月26日、化石燃料ダイベストメントを発表し、石炭、石油、ガス全てからの投資引揚げを表明。関連保有資産は現在150億ユーロ(約2兆円)で、ABPの総運用資産の約3%に相当するが、2023年第1四半期までに大部分を売却するとした。
【参照ページ】Under 1% of $27 trillion global fund assets are paris-aligned
【参照ページ】ABP stopt met beleggen in producenten van fossiele brandstoffen
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら