アジア開発銀行(ADB)は10月20日、新たなエネルギーポリシーを正式決定した。財務省出身の浅川正嗣総裁は、「新たな石炭火力発電には一切資金を供給しないというADBの強いコミットメントを確固たるものとした」を発言した。
ADBは今回、国際エネルギー機関(IEA)のシナリオをもとに、アジア地域の発電設備容量は、2019年の3,386GWから2030年には6,113GWへと、年7%で成長すると見通した。また、アジア地域の再生可能エネルギー発電への投資額は、2030年には年間1.3兆ベイドルに達し、過去10年間の倍になる可能性があるとした。
ADBの今回の決定は、「ADB戦略2030」に沿って策定されたもの。各発展途上国の経済発展レベル、資源保有量、能力、政府のトランジション政策により、共通だが差異あるアプローチを採用するとしつつも、エネルギー安全保障と気候変動レジリエンスの観点から、低炭素かつ再生可能なエネルギー源の利用拡大を優先しつつ、アフォーダブルな価格を実現すると強調した。
今回決定した新たなエネルギーポリシーは、5つの原則で構成された。まず、電化プログラムの支援、クリーンな調理・暖房・冷房の促進、発電・消費チェーンにおけるエネルギー効率の向上、インクルージョン・ジェンダー平等・パートナーシップの促進等により、発展途上加盟国の開発のためのエネルギー確保を支援する。
2つ目は、持続可能でレジリエントなエネルギーの未来の構築。省エネ、再生可能エネルギー、低炭素エネルギーをより多く導入し、気候変動や災害へのレジリエンスをエネルギー部門の業務に統合する。さらに、新規の石炭火力発電所や石炭エネルギー暖房施設へのファイナンスを行わないというADBの現行の慣行を正式化。石炭エネルギーの段階的な廃止も支援する。
3つ目は、発展途上加盟国が国別削減目標や長期戦略を強化するため、グッドガバナンスの構築や検討への企業の参画を支援する。4つ目は地域協力。5つ目は開発効果を最大化するための部門横断的な業務。
ADBは、エネルギーセクターに対し、2009年から2020年までに総額420億米ドル以上の融資を実行。さらに2019年から2030年までに1,000億米ドルの資金を供給する計画を立てているが、ADBだけでは必要資金を支えきれないため、民間金融機関が重要との考え方も示した。
【参照ページ】ADBの新たなエネルギー政策は、アジア・太平洋地域におけるエネルギー利用の拡大と低炭素化に向けたエネルギー転換を支援する
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