世界自然保護基金(WWF)は10月1日、世界の債券・ローン市場全体で、気候変動や自然環境へのポジティブ・インパクトを求め、大幅な転換が必要と提言するレポートを発表した。
同レポートでは、サステナブルボンド(ESG債)やサステナブルローン市場の動向について、過去5年間の進展を分析。現在、世界の債券・ローン市場は124兆米ドル(約1.3京円)で、株式市場全体の95兆米ドル(1兆円)よりも規模が大きい。その124兆米ドルの債券市場のうち、グリーンボンド、グリーンローン、サステナビリティボンド、サステナビリティローン等の合計は3.4兆米ドルと数%を占めるにすぎない。一方、化石燃料関連への債券だけでも8兆米ドルあり、債券・ローン市場全体での気候変動や自然環境へのインパクトは、マイナスと断じた。
WWFは今回、カーボンニュートラルで自然にポジティブな経済への公正な移行を市場がサポートするためには、毎日約1兆ドルが動く世界最大の資本プールを変革することが、金融セクターにとっての優先事項でなければならないと伝えた。
今回のWWFは、金融機関の評価手法として「More-Harm-Than-Good-Indicator」を作成。グリーン向けと化石燃料向けの債券・ローン取引状況を可視化した。結果として、日本のメガバンク3行を含む先進国の大半の金融機関は、化石燃料向けがグリーン向けを上回っていると糾弾された。
一方で、ラボバンクとスベンスカ・ハンデルスバンケンは、化石燃料向けが一切確認されない「ネットゼロ・バンク」と判定された。また、化石燃料向けがグリーン向けを下回っているのは、BNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコル、ウニクレディト、ナティクシス、ABNアムロ、ING、ナットウエスト、ダンスケ銀行、SEB、ノルデア銀行、コメルツ銀行、野村ホールディングス等。
【参照ページ】Debt capital markets can do more to prevent climate catastrophe and nature loss, finds new WWF report
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