広東省発展改革委員会は9月26日、珠江デルタの中核地域で、石炭火力発電所や、企業所有の発電所の新設・拡張を禁止する通達を出した。同省ではすでにガス火力発電の割合が高くなっているが、さらにガス火力発電や再生可能エネルギーへの転換が進む見通し。
中国では、国家発展改革委員会が8月、2021年上半期のエネルギー消費量削減の進捗状況を発表。9省では、エネルギー原単位消費量が増加したと批判。原単位消費量が上昇した県級市、州、盟では、エネルギー消費量もしくは二酸化炭素排出量が多い新規プロジェクトの審査を停止すると発表していた。
【参考】【中国】発改委、上期にエネルギー原単位消費量増加の地方に新規大規模プロジェクト停止命令(2021年8月18日)
国家発展改革委員会は、石炭火力発電、石油化学、化学、鉄鋼、非鉄金属、建築材料、石炭化学、コークスの8産業に該当し、年間のエネルギー消費量が標準石炭換算で1万t以上のプロジェクトは、エネルギー消費量と二酸化炭素排出量が多い「两高(2つの高)」と定義し、各省・市に対策強化を命じている。
今回、広東省発展改革委員会は、两高に該当するプロジェクトで包括調査を実施し、要件を満たしていないプロジェクトは中止する構え。さらに、所定の工業団地以外での石油化学、化学、非鉄金属製錬、板ガラスのプロジェクトの新設や拡張を厳格に禁止する。既存の石炭火力発電所の使用期限満了後の廃炉も進める。
さらにGDRCは、年間エネルギー消費量が標準石炭換算で5万tを超える企業に対し、月次報告制度を導入する。2020年時点で、広東省の発電設備容量は142GWで、全国の6.4%を占める。
中国では現在、冬の暖房シーズンに向けて燃料消費余剰をとっておくため、電力供給の制限が始まっており、石炭価格や電力価格が中国のほぼ全土で高騰化してきている。そこで、中国国家資産監督管理委員会(SASAC)は10月1日、送電網企業に対し、住宅用の電力供給を確保するよう指示を出した。また、火力発電、天然ガス、水力発電、風力発電の供給状況を注意深く監視するよう求めた。石炭採掘会社に対しては、越冬のため、石炭のフル増産を指示した。
中国国家核電技術公司(SNPTC)と中国電力投資集団公司(CPI)の合併で2015年に発足した原子力発電と再生可能エネルギーの中国大手「国家電力投資集団公司(SPIC)」も、中国東北地方の石炭採掘会社と協議し、冬のエネルギー供給のための石炭増産を進めるよう指示している。
中国は、長期的な石炭火力発電の削減と、短期的な市場価格の間の調整に躍起になっている。
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