食品世界大手スイスのネスレは9月16日、農家50万世帯とサプライヤー15万社でのリジェネラティブ農業の促進に向け、今後5年間、12億スイスフラン(約1,420億円)を投じると発表した。加えて同社は、社会・経済変革のためのプログラムを発足した。
農業は同社の二酸化炭素排出量の約3分の2を占め、そのうち酪農と家畜での排出量が約半分。12カ国の酪農30世帯と協働し、リジェネラティブ農業の実証を開始する他、大豆農家とも協働し、代替乳製品に活用する。
まず同社は、高収量と環境インパクトの低減を実現したコーヒーとカカオの開発や、酪農サプライチェーンの二酸化炭素排出量削減ソリューションの評価を実施。農家へのトレーニングや、農家間での情報共有を支援する。
また、リジェネラティブ農業への転換に伴う農家に対し、設備投資等のための資金を融資。リジェネラティブ農業の実証プロジェクトにも共同投資を行う。さらに同社は、リジェネラティブ農業を行った農家からは、プレミアム価格での購入や、購入量の増加を提案する。
同社はその他にも、コーヒーやカカオ農家の収入改善プログラムを発足予定。農業に情熱のある若者を対象に、リジェネラティブ農業のトレーニングを提供する。
さらに同社子会社ネスレ・プロフェッショナル米国法人は9月21日、国際環境NGOの世界資源研究所(WRI)と協働し、気候変動対応型の食品の提供を行うと発表した。低炭素食品の開示により消費者の食生活の行動変容を促す。
WRIは、食品生産における二酸化炭素排出量を測定。通常の1食あたりの二酸化炭素排出量の閾値を下回った場合に、「Cool Food Meals」認証を付与する。WRIでは、1食あたりの二酸化炭素排出量は25%削減を推奨している。
食品栄養促進NGO「International Food Information Council」の調査では、米国消費者の67%が食品生産による気候変動インパクトを懸念。同社のアクションは、気候変動へのインパクト低減の一歩となることが期待される。
【参照ページ】Nestlé unveils plans to support the transition to a regenerative food system
【参照ページ】Climate Change and Food Production
【画像】Nestlé
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