消費財世界大手米P&Gは9月14日、気候変動に対する包括的計画を発表。2040年までにスコープ3含むバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を宣言した。同社は2020年7月、2030年までにスコープ1とスコープ2でのカーボンニュートラルを発表済み。今回同目標をさらにスコープ3まで拡大した形。
【参考】【国際】P&G、2030年カーボンニュートラル目標発表。2040年までにスコープ3のCO2も大幅削減(2020年7月17日)
また同社はすでに、スコープ1とスコープ2で2030年までに2010年比で排出量を50%削減、スコープ3で同40%削減で科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)からの承認を取得済み。同社は国連の気候変動キャンペーン「Race to Zero」にも参画し、気候変動アクションを加速する。
【参考】Race to Zeroとは・何か
今回発表の計画では、二酸化炭素排出量の大幅削減を最優勢課題として設定。現在同社電力使用量の97%を占める再生可能エネルギーを、2030年までに100%まで引き上げる。同社は2010年から2020年にかけ、再生可能エネルギー転換等を通じ、二酸化炭素排出絶対量を52%削減に成功。今後も削減アクションを継続し、削減が困難な分は森林や生態系の保全でオフセットする。
サプライチェーンと物流からの排出量については、自社事業からの排出量の約10倍と推定。輸送効率の改善で2030年までに排出量を半減する。同社おむつ製品パンパースでは過去5年間、サプライヤーとの協働で、製造での二酸化炭素排出量を100万t削減。さらにドイツ・クロンベルクに製品供給イノベーション・センター(PSIC)を設立し、地域サプライヤーやIT企業、大学との脱炭素ソリューション開発を進めている。
同社は、一部の事業活動からの二酸化炭素排出量は、現段階では削減困難と説明。次世代技術の開発にも取り組んでいる。世界自然保護基金(WWF)やRenewable Thermal Collaborative(RTC)、地方自治体等と協働し、コストメリットのある大規模での地熱利用を推進。加えて、同社製品の包装・容器の再生素材やバイオ素材等への転換や、米化学トゥエルと協働での二酸化炭素由来原料の使用等を進める。
同社はその他にも、消費者エンゲージメントも実施。主力洗剤ブランドTideやアリエールでは、温水ではなく常温水での洗濯を呼びかけるキャンペーンを行っている。
また、家庭での一人当たりの1日の水使用量を50l以下に抑える国際イニシアチブ「50L家庭連合(50L Home Coalition)」にも加盟。家庭や都市の水システムにおける水不足、水の効率化、水のリサイクル、水の再利用に対応するソリューションを特定し、共同設計を思案する。
【参考】【アメリカ】P&G、洗剤Tideでライフサイクルでのカーボンニュートラル標榜。地域支援プログラムも拡大(2021年4月6日)
【参照ページ】P&G Accelerates Action on Climate Change Toward Net Zero GHG Emissions by 2040
【参照ページ】P&G Accelerates Action on Climate Change Toward Net Zero GHG Emissions by 2040
【画像】P&G
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