世界経済フォーラム(WEF)は9月1日、エネルギー転換でのAI活用を研究したレポートを発表した。AI活用で1%省エネを実現するごとに、2020年から2050年までで1.3兆米ドル(約140兆円)の費用低減効果があると試算した。
同レポートは、ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンス(BNEF)と独エネルギー庁が作成に協力。エネルギー転換での優先度の高いAIアプリケーションを特定し、エネルギーおよびAI業界がAIのメリットを最大限に活かすためのロードマップと提言をまとめた。
優先度の高いAIは、全部で3つ。まず、エネルギーインフラでの省エネ。データパターンをAIで特定する。BNEFのネットゼロ・シナリオによると、世界のエネルギーシステムを完全に脱炭素化するためには、2020年から2050年の間に92兆米ドルから173兆米ドルのエネルギーインフラ投資が必要だが、数%の省エネで同30年間で数兆米ドルのコスト削減につながるという。
次に、再生可能エネルギーの系統調整。AIを活用し、再生可能エネルギー発電の予測、供給調整、柔軟な需要調整を実現する。
最後は、複雑で分散したエネルギーシステムの大規模管理。分散型発電、分散型蓄電、高度なデマンドレスポンス機能が急速に普及する中、AIを活用して、これらをネットワーク化し、電力網の統合を進める。
今回世界経済フォーラムは、エネルギー分野でのAI導入は依然として限定的で、今後業界全体でのAIのイノベーション、導入、協力が必要と提唱。それに向け今回、動きを加速するための9つの原則を提示しした。原則は、「設計」「サステナビリティ」「自動化」「データ」「インセンティブ」「教育」「リスクマネジメント」「スタンダード」「責任」の9つで構成されている。
【参照ページ】Artificial Intelligence is Critical Enabler of the Energy Transition, Study Finds
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