チョコレート世界大手米マースは8月26日、2025年までに水ストレスの問題に直面している5つの製造拠点でウォーターバランス(ウォーターニュートラル)を達成すると宣言した。水消費量と同量を水系に還元する。
同社は今回、水の確保は危機的状況にあり、気候変動の影響でさらに悪化していると言及。現在、20億人以上のが水不足に陥っている国で生活しており、今すぐに対策を講じなければ、2050年まで世界人口の半分以上が水ストレスを抱えると予測しているとし、課題感を示した。
ウォーターニュートラルは、各製造拠点で使用する水と同量の水を、廃水処理・リサイクルした上で、それでも足りない分について流域で利用可能な水を増やすプログラムを展開し、水ストレスを軽減するもの。そのため、同社は先進的なウォーター・スチュワードシップ・プログラムを導入する。まず、緊急性の高いメキシコ国内で優先順位の高い5つの事業所を選定。その後、アジアとアフリカの6つの製造拠点にも拡大する予定。
例えば、メキシコでの活動では、Water Resilience Coalitionの加盟企業として、他の企業と協力し、メキシコ中央部のCharco Benditoでの水スチュワードシップ・プログラムを実施。同プログラムでは、水の再生に不可欠な水路沿いの自然環境を復元している。
【参考】【国際】食品・アパレル等世界大手7社、Water Resilience Coalition発足。2050年水資源ポジティブ(2020年3月25日)
同社は、2015年から「CEO Water Mandate」に加盟。CDPウォーターでの評価は「A-」。すでに、「Sustainable in a Generation Plan」として数十億米ドル規模のプログラムを展開。2025年までに水消費量を50%削減すること目標を掲げるとともに、バリューチェーン全体での持続可能でない水消費の改善も進めてきた。
【参考】【国際】国連グローバルコンパクトのCEO Water Mandate、水資源管理に関する新ガイドを公表(2015年9月11日)
同社のプログラムでは、グローバル・サプライチェーンでの水消費量をマッピングし、水ストレスの高い流域での影響を軽減するとともに、水効率を高める持続可能な農法を農家に指導こと等も実施。例えば、マースが、持続可能な米生産の基準を作り、気候や水にやさしい米生産方法を推進するための「サステナブル・ライス・プラットフォーム(SRP)」の発足に協力。2020年までに自社のコメの99%をSRPの基準を満たす農家から調達することにコミットしている。インド北部のShubh Mintプログラムでは、24,000人以上の農家に適正農業規範のトレーニングを実施。水の需要を50%削減するとともに、同地域の農家の収入と生活を250%向上できている。
【参照ページ】Mars Pledges to Achieve Water Balance in High Water Stressed Operations by 2025
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら