米アップルは8月26日、iOSアプリ開発事業者が提訴した米カリフォルニア州での集団訴訟に関し和解案で合意に達したと発表した。これに伴い、アップルはApp Storeの利用規約を合意内容に基づき改訂する。原告は、アップルが課しているアプリ内でのアップル以外の決済サービス課金に対する高額の手数料や、高額なアプリ販売手数料の徴収が競争法に違反すると主張していた。裁判所が承認すれば、和解が成立する。
今回の和解案は7つの内容で構成。まず、アップルは従来、App Store以外での課金を禁止し、App Store以外での課金商品の販売を誘導した場合には違反行為として逸失額の30%を強制徴収するルールを定めていたが、App Store以外での課金を解禁し、ユーザーの同意のもとで課金できるようにする。App Store以外での課金に対し、アップルは手数料を徴収しないことにも合意した。
また、有料アプリの手数料では、1月から小規模事業者に対し手数料を30%から15%に半額にする「App Store Small Business Program」を導入していたが、今後3年間は継続することで合意。対象は、手数料を除く年間売上が100万米ドル(約1.1億円)未満の事業者。年間売上が100万米ドルを超えると手数料が30%に戻るが、再び年間売上が100万米ドル未満になれば、15%へ引き下げられる。
App Storeでは有料アプリやアプリ内課金での料金設定では、従来アップルが、「Tier1」の120円から「Tier87」の11万9800円の100段階に設定していたが、500以上に増やすことでも合意した。
App Storeの検索結果に関しては、ダウンロード数、スター評価、検索テキストとの関連性、検索するユーザーとの関連性(行動シグナル)等の客観的特性に基づいて表示している現状の仕様を今後3年間継続することで合意した。
App Storeでのアプリ審査では、却下時の不服申立制度を維持することで合意。アップルは不服申立プロセスの理解促進のためのコンテンツを制作する。また、却下アプリ数、無効となった顧客アカウントやデベロッパーアカウント数、App Storeでの検索クエリと検索結果に関する客観的データ、App Storeから削除されたアプリ数等のデータを開示することにも合意した。
加えて、新型コロナウイルス・パンデミックで打撃を受けている小規模開発事業者を救済するための基金を創設。2015年6月4日から2021年4月26日までの期間に売上総額が100万米ドル未満だった米国のデベロッパーが支援の対象になる。該当する米国デベロッパーは全体の99%に上る。支援の詳細は後日発表。
同社は別途、報道機関向けの新プログラム「News Partner Program」の開始も発表した。Apple Newsに自媒体のコンテンツを掲載し、自媒体のユーザーがコンテンツにアクセスできるようにする。参加する報道機関は、Apple Newsの対象購読の15%の手数料を得ることができる。同社は、このプログラムを、「App Store Small Business Program」と組み合わせることで、地域のジャーナリズムを支援すると伝えた。
【参照ページ】Appleと米国のデベロッパが、ビジネスをサポートしながらユーザーの素晴らしい体験を維持できるApp Storeのアップデートに合意
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