【日本】伊藤忠、日本初のマングローブ由来Jブルークレジット創出へ。家庭用蓄電池サブスクも開始

　伊藤忠商事は8月18日、奄美大島の宇検村と協働で、マングローブ植林によるカーボンクレジット創出プロジェクトを開始することで合意した。国土交通省が進める「Jブルークレジット」をマングローブ植林で創出する日本第1号を目指す。

　Jブルークレジットは、海洋植物での二炭化炭素固定「ブルーカーボン」を認証で広げるため創設された日本独自の制度。国土交通省の地球温暖化防止に貢献するブルーカーボンの役割に関する検討会での審議も踏まえて誕生し、国土交通相認可法人のジャパンブルーエコノミー技術研究組合が運営している。

　奄美大島は、7月に開かれた国連教育科学文化機関（UNESCO）の世界遺産委員会で、世界自然遺産として登録。奄美大島の西岸に位置する宇検村では、子供たちが育てたメヒルギの苗を使ったマングローブ林の植林活動が行われている。

　また同社は同日、オーストラリアでのグリーン水素製造、貯蔵、輸出の事業化調査を、オーストラリアのDalrymple Bay Infrastructure（DBI）、North Queensland Bulk Ports Corporation、カナダのブルックフィールド・アセット・マネジメントと共同実施することで合意したと発表した。クイーンズランド州政府が所有し、DBI社が運営するダリンプル・ベイ・ターミナル（DBT）の遊休地を活用し、プラントを建設する。DBTは、同州が指定する再生可能エネルギー開発地帯の中心部に位置している。

　更に同社は8月12日、東京センチュリーと共同で、分散型電源と関連機器のサブスクリプションサービスを提供する合弁企業「IBeeT」も設立した。伊藤忠商事が、NFブロッサムテクノロジーズと共同開発した家庭用蓄電システム「Smart Star」をサブスクリプション型で提供する。

　家庭用蓄電システムでは、再生可能エネルギーの普及や自然災害に対するレジリエンス向上・停電対策の観点から、家庭用蓄電システムや中大型の蓄電システムのニーズが拡大すると見込む。Smart Starは、全負荷型蓄電池として停電時に全ての電気を利用できる利便性を有していることに加え、各家庭の電力需要パターンをAIで学習し、太陽光や深夜の安い電力を活用した蓄電池放充電の最適化も実現できる。2021年6月末時点で累計販売台数は、4.5万台（約450MWh）を突破した。

　サブスクリプションサービス第一弾として2021年9月から新たに開始する「Beeフラット」は、「Smart Star L」と「Smart Star 3」を、初期費用無料かつ月々定額で各家庭にリース提供する。契約期間中の定期メンテナンスサービスに加え、従来の10年の製品保証に対して5年延長も付与。AIソフトウェア「GridShare」による最適充放電サービス等もパッケージで提供し、契約期間満了後にはご家庭へ蓄電システムを無償譲渡する国内初のサブスクリプションサービスという。

　また、IBeeTは、将来的にEVリユース電池を活用した中・大型蓄電システム「Bluestorage」や、業務用蓄電池、太陽光発電パネル、EV本体及び関連機器等のサブスクリプションサービスの提供も視野に入れている。IBeeTが同サービスを通じて保有する分散型電源から生み出される余剰電力をAI「GridShare」を用いて相互に融通する等の効率的な分散型電源プラットフォームの早期構築も図る。

【参照ページ】世界遺産の島、奄美大島・宇検村とマングローブ植林プロジェクトを開始
【参照ページ】豪州におけるグリーン水素製造およびサプライチェーン構築に関する事業化調査の協業覚書締結について
【参照ページ】分散型電源のサブスクリプションサービスを提供する合弁会社設立について

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所