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【国際】バイオ技術革命、代替肉と素材分野の双方に巨大な影響ポテンシャル。先行技術も登場

 英シンクタンクは8月17日、代替プロテインの開発を支えているバイオ技術の進化が、アパレル繊維や素材の分野にも大きな影響を与える可能性を示したレポートを発表した。バイオ技術とIT技術の向上と融合が素材の分野に新たな地平を開拓してきている。

 今回のレポートを発表したのは、プラネット・トラッカー。Good Food Instituteによると、代替タンパク質業界の投資規模は、2019年の8億2,400万米ドルから、2020年には31億米ドルへと3倍にまで増加。2010年以降の総投資額は59億米ドルとなった。2021年5月にはOatlyが新規上場、2021年から2022年の間にインポッシブル・フーズの新規上場も予定されており、まだまだ投資額は拡大する見込み。

 代替肉の生産コストは、バイオ技術とIT技術の融合により、劇的に低下。2023年には植物由来代替肉が、2025年には微生物由来代替肉が、2032年には培養肉のコストが現在の食肉コストと同等にまで下がる見通し。まさに生物学革命が起きている。


(出所)Planet Tracker

 こうした微生物を活用した生物学革命は、素材の分野にも大きな影響を与えるポテンシャルを秘めている。具体的には「代替素材の開発」「新製造プロセスの開発」「リサイクル技術の開発」の3分野で、Materials Innovation Initiative(MII)の推計によると、2015年以降、次世代素材だけで約13億米ドル以上が投資されており、2020年にはそのうち5億米ドル以上が投資されているという。多くは、植物、細胞、発酵を利用した代替素材で、次世代素材の市場は、2020年の6,500万米ドルから2026年には22億米ドルにまで成長する見込みもある。

 プラネット・トラッカーは今回、先行事例として、微生物プロセスを活用した繊維生産のスパイバーと、クラゲ由来のコラーゲンから革の代替素材を開発したGeltor、細胞ベースの技術から牛革を生産できるVitroLabs、菌糸の技術を用いて革を生産できるBolt Threadsを紹介。また、染料では、Mordern MeadowやColorifixが、生物学的な反応を利用した効率的な染料技術を開発してきている。

 繊維素材のリサイクルでも、エジンバラ大学では、PETを香料に使われるバニリンに変えるバクテリアの開発に成功。またプラスチックを捕食し、バイオ素材や食品、飼料を生成できる菌類も発見された。牛の胃からは、プラスチック廃棄物を分解する酵素も発見されている。これらはプラスチックのリサイクルコストを劇的に下げるポテンシャルまであるという。

 プラネット・トラッカーは、これらの技術が複雑なサプライチェーンの中で、市場環境を大きく変える可能性を指摘した。例えば、牛革の代替物が安価に生産できるようになれば、牛肉畜産事業者の収益性を悪化させ、畜産が衰退。もしくは、環境インパクトから牛の生産が抑制されれば、牛革の価格は高騰し、代替素材開発の需要を高める。食肉と繊維は、同じ動物から採取されており、いずれかでの市場破壊は、もう一方にも破壊的な影響を与えるという。

【参照ページ】Will alternative proteins disrupt textiles?

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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