米カリフォルニア州水委員会は8月3日、同州を襲っている気候変動要因の旱魃の影響で、サクラメントーサンホアキン・デルタ地帯の水位が著しく低下しているため、水利権の制限を発動する緊急取水制限命令を承認した。最終的には行政法委員会のチェックの上、州国務長官が発令する。
サクラメントーサンホアキン・デルタ地帯は、同州北部に位置し、サクラメント川とサンホアキン川が合流する一体の流域地帯を指す。面積は3,000km2で、同州の飲料水の3分の2を供給。州内のさけ養殖の80%を支えている。また、750種以上の動植物の生息地であり、デルタワカサギ、チヌークサーモン、スチールヘッド等の絶滅危惧種の生息地でもある。
同委員会は今回、飲料水や漁業、農業を保護するため、大規模な水使用規制が必要と判断。6,600の水利権者のうち、5,700に分水量の削減が8月中にも命じられるという。最悪の事態では、残りの水利権者も、水利権制限を受ける可能性もある。
今回の発表によると、水利権を規制しない場合、淡水が海水を押し出せなくなり、一体の水系の塩分濃度が上がり、人体と環境に大きな打撃をもたらす。旱魃が3年続いた場合、上流水位が危険水位を越え、州内2,500万人と、約12,000km2が危機的状況となる。アオコの発生や、絶滅危惧種が絶滅に至る危険性もある。
同州では、春から気温が大きく上昇し、河川や貯水池の水量が大幅に減少。一方、水利権者は水を確保するため、多くの取水を実施した。その結果、100万世帯以上分の生活水1年分に相当する1km3の水が消失した。
同州水委員会は、3月22日に全ての水利権者に対し、水の適正利用を要請する書簡を送付。州知事は同州58郡のうち50郡で旱魃緊急事態を宣言した。5月10日には州知事が、水委員会に対し、緊急規制の検討を支持。6月15日には4,300の水利権者に取水の制限を要請するとともに、追加で2,300の水利権者にも制限の可能性があることを通知していた。7月8日には、州知事から全カリフォルニア州市民に対し、水を15%節水することも呼びかけている。
同州が、緊急使用制限を発動するのは、同州史上で今回が4回目だが、規模は最大級という。違反した水利権者には、1日につきき1,000米ドル(約11万円)の罰金が、違反農家には面積1,200m2当たり2,500米ドル(約28万円)の罰金も課される。
【参照ページ】State Water Board approves emergency curtailment measures for the Delta watershed
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