仏エネルギー大手トタルエナジーズ(旧名トタル)が、脱炭素化に向けた協働を加速している。同社とIT世界大手アマゾンは7月29日、両社の100%再生可能エネルギー移行とDX推進の加速のため、パートナーシップを締結すると発表した。
アマゾンは、2030年までに100%再生可能エネルギー移行、2040年までにカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を目標としている。一方、トタルエナジーズも2050年カーボンニュートラルを目標としており、販売する電力の再生可能エネルギー比率を2050年までに40%まで引き上げるとしている。今回の発表は、両社の目標に向けたアクションの一環。
同パートナーシップでは、アマゾンは、米国と欧州でトタルエナジーズから100%再生可能エネルギー電力を購入する電力購入契約(PPA)を締結。設備容量は474MW。今後、中東とアジア太平洋地域の拠点へも対象を拡大予定。他方アマゾンからは、トタルエナジーズへAWSを提供。DX推進を支援する。
トタルエナジーズは7月12日、ノルウェー肥料大手ヤラ・インターナショナルと、フランス・ノルマンディー地方での炭素回収・貯蔵(CCS)開発に関する覚書(MOU)も締結した。2030年までに二酸化炭素排出量300万t削減を目指す。両社は、実証試験から開始。欧州、フランス、同国自治体等からの資金調達を目指すとともに、他社の協働を呼びかける。
さらにトタルエナジーズは7月7日、人工衛星での二酸化炭素排出量モニタリング技術開発のカナダGHGSatとともに、衛星画像を活用した海上でのメタン漏出量モニタリング技術「Glint Mode」を共同開発すると発表した。
両社のアクションは、気候変動・大気汚染防止のマルチステークホルダー型国際パートナーシップ(CCAC)が運営する石油・ガス企業国際イニシアチブ「石油・ガス・メタン・パートナーシップ(OGMP)」の一環。
【参考】【国際】石油・ガス62社、メタンガス排出量報告フレームワークOGMP2.0発表。シェル、BP等(2020年12月1日)
今回発表の技術では、太陽光の海面反射によるデータ観測の妨害を防ぐことが可能。トタルエナジーズが開発した超軽量ドローン分光器「AUSEA」と組み合わせ、正確なモニタリングを行う。
その他トタルエナジーズは7月6日、二酸化炭素を活用したマイクロアルジェ(微細藻類)栽培技術開発で、環境サービス世界大手仏ヴェオリアと4年間のパートナーシップを締結すると発表した。微細藻類を活用したバイオ燃料開発を目指す。トタルエナジーズは、微細藻類の栽培と二酸化炭素回収、バイオ燃料精製を担当。ヴェオリアは、微細藻類の水環境の最適化、藻類バイオマスの開発を担う。
フランスでは7月1日、仏微細藻類スタートアップのマイクロファイトを中心とする世界最大の微細藻類(マイクロアルジェ)生産工場建設プロジェクト「SCALE」も始動。微細藻類への注目が高まっている。
【参考】【フランス】微細藻類マイクロファイト、世界最大プラント建設。年100t。EUも20億円助成(2021年8月2日)
【参照ページ】TotalEnergies and Amazon announce strategic collaboration
【参照ページ】Air Liquide, Borealis, Esso, TotalEnergies and Yara collaborate to help decarbonize the industrial basin of Normandy in France
【参照ページ】TotalEnergies and GHGSat Launch a New Initiative to Monitor Offshore Methane Emissions by Satellite
【参照ページ】TotalEnergies and Veolia Join Forces to Develop CO2-based Microalgae Cultivation to Produce Next-generation Biofuels
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