欧州銀行監督機構(EBA)は7月30日、EU及びEEAの銀行50行を対象とした2021年のストレステスト結果を発表した。50銀行の資産は、EUの全銀行の70%をカバー。2021年は、ベースラインのシナリオと、新型コロナウイルス・パンデミックの影響を考慮した激しいショックを前提とした「逆境シナリオ」の双方を用い、3年後のEUの銀業界の回復力を評価した。
EUでは、2年に一度、EU規模のストレステストを実施しており、本来は2020年の実施予定だったが、パンデミックにより1年延期してた。ベースラインのシナリオは、各加盟国の中央銀行が設計。一方、逆境シナリオは、欧州中央銀行(ECB)と欧州システミックリスク委員会(ESRB)が作成。双方のシナリオを用いたストレステストは、EBAが独立して実施している。
欧州の銀行は、前回2018年のストレステスト以降、資本増強を続け、2020年末のCET1比率は、EBAがストレステストを実施して以来の最高値となるフルロードベースで15%(経過措置ベースで15.3%)に達した。2020年には、パンデミックの影響を受け、GDPも大幅に下がったが、銀行財務は安定化する方向に向かっていた。
但し、逆境シナリオでは、今後3年でEU全体のGDPが累積で3.6%減少し、全ての加盟国のGDPでもマイナスになると想定すると、CET1比率は、3年後にはフルロードベースで485bps(経過措置ベースで497bps)下落。特に、国内業務が中心の銀行や、金利収入への依存度の高い銀行では、下落率が著しくなる。それでもEUとEEA全体の平均では、CET1比率は10.2%(経過措置ベースで10.3%)となり、10%を超える。CET1比率下落の要因は、信用リスクが3,080億ユーロ、市場リスクが740億ユーロ、オペレーションリスクが490億べユーロ。
個別の銀行では、逆境シナリオでの2023年のフルロードのCET1比率は、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行がマイナス0.1%、ドイツ銀やサバデル銀行が3.1%ともなり、状況が大きく悪化する見通し。
【参照ページ】EBA publishes the results of its 2021 EU-wide stress test
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