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【アメリカ】バイエル、2023年に米国でのラウンドアップ販売終了。訴訟リスクでの判断

 化学世界大手独バイエルは7月29日、2023年から米国市場で家庭用芝生・園芸市場での、主力除草剤グリホサート(商品名ラウンドアップ)の販売を終了すると発表した。背景としては、米国での訴訟リスク対応と説明し、安全性の問題ではないと強調した。グリホサート反対運動を展開した環境NGOからは勝利宣言が出された。

 ラウンドアップは、米国では大規模訴訟に発展しており、ラウンドアップを開発・販売してきたモンサントを2018年に買収したバイエルにとって、巨大な訴訟損害リスクとなっていた。2020年6月には、現在未提訴のものも含めて12.5万件ある訴訟案件のうち75%をカバーする法廷係争で、100.5億米ドル(約1兆700億円)から108.5億米ドル(約1兆1,600億円)の和解金支払いで合意したが、まだ残りの訴訟案件を抱えている状態だった。

【参考】【アメリカ】バイエル、旧モンサントのラウンドアップ訴訟で約1.1兆円の和解金で原告と合意(2020年6月29日)

 ラウンドアップ訴訟では、米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所が5月27日、集団和解訴訟の予備的承認の申立を却下。これにより訴訟を個別に対応しなければいけない状態となり、同社として訴訟対応負荷がかさみ、さらに訴訟の見通しが大幅に立たない状態に陥っていた。しかし、第9巡回区控訴裁判所の裁判で、米環境保護庁(EPA)は、グリホサートは「懸念されるようなヒトの健康リスクをもたらさない」ことを改めて確認する準備書面を提出していたことが同社としての今後検討材料ともなっていた。

 5月の裁判所での判断を受け、同社は5つの対応策を発表。「健康リスクがないラベルを製品表示することをEPAに許可申請」「今後の家庭用芝生・園芸市場での販売の見直し」「将来のクレームに対する独立科学諮問委員会の設置」「損害賠償提訴での和解に向けた努力」「今回の裁判所判決の上訴」を実行するとしていた。その中で、今回「今後の家庭用芝生・園芸市場での販売の見直し」の結果、2023年の販売終了を決断した形。一方、訴訟が少なかった業務用市場では販売を継続する。

 バイエルの今回の発表では、今後の訴訟リスクに備え、2021年第2四半期に税引前の総額45億米ドル(約5,000億円)の引当金を上積みすると表明。但し、同社の将来の見立てでは、米連邦最高裁判所が、今回の集団和解訴訟の却下を破棄する判決を下すだろうとし、想定どおりとなった場合には、アップサイドとなると株主や債権者に説明した。

 今回の判断を受け、グリホサート反対運動を展開してきた環境NGOのFriends of the Earthは、勝利宣言を発表した。

【参照ページ】Bayer Provides Update on Path to Closure of Roundup™ Litigation
【参照ページ】Bayer announces five-point plan to effectively address potential future Roundup™ claims
【参照ページ】Bayer to Remove Cancer-linked Glyphosate From Roundup for U.S. Lawn and Garden Market by 2023

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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