経済産業省は8月2日、「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」の一部が施行され、各種支援措置の申請受付を開始した。2021年度の措置で「グリーン社会への転換」「デジタル化への対応」「新たな日常に向けた事業再構築」「中小企業の足腰強化」の4つが柱となっている。
カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)の実現に向けた減税措置では、産業競争力強化法の計画認定制度に基づき、大きな脱炭素化効果を持つ製品の生産設備または生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備の導入に対し、最大10%の税額控除もしくは50%の特別償却を選択できる。措置対象の投資額は最大500億円。
デジタルトランスフォーメーション(DX)での減税措置でも、産業競争力強化法の計画認定制度に基づき、部門・拠点ごとではない全社的レベルの
DXに向けた計画を主務大臣が認定した上で、DXの実現に必要なクラウド技術を活用したデジタル関連投資に対し、最大3%の税額控除もしくは30%の特別償却を選択できる。企業グループ外の他法人とのデータ連携では税額控除の上限が5%に引き上げられる。措置対象の投資額は最大300億円。また、税額控除の上限は、上記のカーボンニュートラル設備減税と合わせ、合計で法人税額の20%まで。
カーボンニュートラルに関しては、融資銀行へのツーステップ・ローンとサステナビリティ・リンク・ローン実施に対する利子補給制度も設けた。対象は、国際資本市場協会(ICMA)のサステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)と、経済産業省、環境省、金融庁が5月に策定した「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」の双方への準拠を外部機関が保証することが求められる。また融資対象事業者が、10年以上の計画を策定することも必須。
【参考】【国際】経産省、環境省、金融庁、クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針策定(2021年5月10日)
ツーステップ・ローンとは、国が認定した認定事業者等に対し指定金融機関が行う融資に必要な資金を政府系金融機関が金融機関に融資する制度。今回の措置では、日本政策金融公庫から指定金融機関の融資で、融資期間5年以上、融資金額50億円以上のトランジションローンが対象となる。サステナビリティ・リンク・ローンへの利子補給では、融資期間7年以上、3回以上のステップアップ、融資金額は最大500億円。1回目のステップでは0.1%幅の利子補給を、2回目のステップアップでは最大0.2%幅の利子補給を行う。同利子補給事業では、総額1兆円規模の融資への利子補給を想定値として設定した。
また、新型コロナウイルス・パンデミックの中、赤字企業でも事業再構築を進めることを後押しするため、繰越欠損金の控除上限を現行の50%から、最長5年間、最大100%にまで引き上げる。これにより、税負担を軽くし、事業再構築の迅速化を狙う。特例措置を受けるためには、ROA又はEBITDAマージンを5%ポイント以上引き上げる生産性向上目標等を達成する計画を提出しなければならない。
(出所)経済産業省
また、コロナ禍での特例措置として、バーチャルオンリー株主総会の開催を可能とした。他にも2021年6月に期限を迎える予定だった「規制のサンドボックス制度(新技術等実証制度)」を恒久化した。
事業計画を認可された大規模ベンチャー企業が行う量産化設備投資に対し、中小企業基盤整備機構が債務を保証する制度も創設した。経済産業大臣の認定を受けた投資事業有限責任組合(LPS)による投資は、50%の海外投資比率規制の適用を除外する制度も設けた。
【参照ページ】「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」の一部が施行されました
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