中国共産党中央委員会弁公庁と国務院弁公庁は7月24日、義務教育課程の学生に対する宿題と課外学習の負担を軽減する行政命令を出した。これにより、営利の学習塾事業は全面禁止され、全て非営利型への転換が強要されることとなった。教育事業にはオフラインとオンラインの双方が対象。「質の高い教育システム」のためと謳った。
今回の政策は、中国の教育制度を大きく転換するものとなる。学校教育の重要性を高め、課外学習の対する規制を大幅に強化した。各分野については、転換が困難なものについては、パイロットプロジェクトで実証導入し、段階的に削減することにまで踏み込む意思を伝えた。
今回政策のスケジュールは、3年間を目標に設定。初年度には、学生の宿題負担と課外学習負担を大幅に減らすことで家計負担も減らすとし、3年以内には大きな成果が得られている状態にするという。
宿題に関しては、量と質を合理的に規制し、難易度が国家基準に超えてはならず、保護者に宿題のチェックや添削を依頼することも禁止。学校に対しては、宿題内容を公表し、当局が監督する体制を整備するという。さらに、宿題に量については、小学校1、2年生は文章宿題を禁止。小学校3年生から6年生では、文章による宿題の平均所要時間を60分以内に制限。中学校では文章による宿題の平均所要時間を90分以内に規制する。あた宿題は学校で終わらせるようにする。
さらに厳しいのが、義務教育課程の学生を対象とした総合塾やオンライン総合塾に関する規定で、新設は禁止。また既存の塾も、非営利団体として登録される。オンラインの科目別塾に関しては、承認制を導入。学習塾以外のスポーツ、文化・芸術、科学技術等の塾についても承認制を導入する。上場は禁止。上場企業の塾事業への投資も禁止。海外投資家が、M&Aやフランチャイズチェーン等の形態で塾を保有したり、参画することも禁止した。塾での教育内容は検閲される。祝日や夏休み、冬休みの教科別講習も禁止した。塾講師は、教員資格が必要となる。事業融資を受けることも禁止された。
オンライン講習では、生徒の視力保護のため、1回のレッスンは30分以内、レッスンの間隔は10分以内、トレーニングの終了時間は21時までと設定した。実態把握のためには、AI技術も活用する。講師を海外から招聘することは禁止され、中国国内にいる講師を採用する場合は、当局の規制下に置かれる。塾の生徒募集広告掲載も禁止された。
同政策では、北京市、上海市、瀋陽市、広州市、成都市、鄭州市、常熟市、威海市、南通市がパイロット認定地として指定され、先行導入する。他の省も、少なくとも1つの都市を選んでパイロットプロジェクトを実施する。
【参照ページ】中共中央办公厅 国务院办公厅印发《关于进一步减轻义务教育阶段学生作业负担和校外培训负担的意见》
【参照ページ】中共中央办公厅 国务院办公厅印发《关于进一步减轻义务教育阶段学生作业负担和校外培训负担的意见》
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