米調査大手は7月、世界のバイオ肥料市場が2019年に約21億米ドル(約2,300億円)にまで伸長したと発表。さらに今後の予測では、2020年から2027年までに年11.6%以上の成長率と見通した。同様に、バイオ農薬市場も急拡大してきている。
今回の見通しを発表したのは、インドのBizwit Research & Consulting。米Grand View Researchも同様に6月、バイオ肥料市場は、2027年までに27億米ドル(約2,900億円)に達し、2020年から2027年までに年12.8%の成長が予測されると発表している。米QYResearchも、2020年の推計値を23億9,200万米ドル(約2,600億円)とし、2021年から2028年までの年成長率を8.36%と算出。2028年に44億1,800万米(約4,900億円)に到達するとした。
バイオ肥料は、微生物等を活用した生物学的な肥料。化学肥料の対抗概念として登場している。バイオ肥料の市場拡大を後押ししているのは、世界的なオーガニック食品へのシフト。消費者の健康理由だけでなく、気候変動緩和の観点から化学肥料を忌避し、バイオ素材への転換も企業自身が進めるようになってきている。調査会社によると、米国、ドイツ、中国、スイス、デンマーク等でオーガニック食品の小売売上が増加しているという。
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バイオ肥料は、ノボザイムズ等の大手企業だけでなく、中小のメーカーも多数登場してきている。スタートアップでも、米ピボット・バイオは7月19日、米DCVCとシンガポールのテマセク・ホールディングスが主導する出資ラウンドで4億3,000万米ドル(約470億円)を調達。同社の累計調達額は6億米ドルを超え、評価額は約20億米ドルとなった。ピボット・バイオは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校大学院の同窓生が2011年に設立。ビル&メリンダ・ゲイツ財団からも支援を受け、売上は数千万米ドルにまで成長してきている。
農薬でも、化学農薬の対抗概念として、バイオ農薬(生物農薬)が急成長している。インドのMarketsandMarketsは5月、2019年のバイオ農薬市場規模を38億米ドル(約4,200億円)と試算。さらに2020年から2027年までの年成長率を11%と弾き出した。バイオ農薬とバイオ肥料は、持続可能な農業への転換において、重要な役割を担い始めている。
肥料市場では、中国の国家発展改革委員会が7月30日、肥料大手や関連業界団体を招集し、国内の肥料市場供給を優先するため、当面は肥料の輸出を行わないことを伝えている。国内の農作物の増産を優先させる政策とみられ、肥料・農薬でもチャイナ・リスクが出てきている。
【参照ページ】PIVOT BIO RAISES $430 MILLION TO REPLACE SYNTHETIC FERTILIZERS IN AG
【参照ページ】国家发展改革委约谈提醒重点化肥企业
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