石油資源開発株式会社(JAPEX)は7月29日、カナダ・オイルサンドプロジェクトを中止し、900億円の特別損失を計上すると発表した。役員報酬も10%から30%を3ヶ月間返上する。気候変動対策による脱炭素化の流れや、原油価格水準から、操業開始からわずか4年で事業終了を判断した。
同社は、94.58%の株式を保有するカナダオイルサンドを通じて、カナダ・オイルサンドプロジェクトを運営するJapan Canada Oil Sands(JACOS)の株式を100%保有。JACOSは、1978年に設立され、オイルサンド層の開発生産技術の開発を進めてきた。2017年には、カナダのハンギングストーン鉱区で生産を開始し、現在日量2万バレル台のビチューメン(超重質油)を生産している。
しかし同社は、2018年5月に公表した中期事業計画の中で、原油価格が1バレル50米ドルから60米ドルの市況下でも成長できる事業構造の転換を表明。カナダ・オイルサンドプロジェクトは、この条件を満たさないと判断された。その結果、同プロジェクトの終了を決定。JACOSの全株式も、英スコットランドGAC HoldCoの完全子会社HE Acquisition Corporationに売却することを決めた。
今回の決定の財務影響は、CANOS株式に係る子会社株式評価損が約800億円。またJACOSの金融機関からの借入金の一部に対する同社の保証債務に係る債務保証損失引当金繰入額が約100億円。合計約900億円の特別損失を計上する。同社の株式の34%は経済産業大臣が保有しており、国庫への負担にもなる。
役員報酬の返上は、代表取締役会長と代表取締役社長が月額報酬の30%。代表取締役副社長1名、取締役専務執行役員1名、取締役常務執行役員1名、常務執行役員1名、執行役員1名が、月額報酬の10%。期間は、2021年8月から3か月間。
【参照ページ】当社におけるカナダ・オイルサンドプロジェクトの事業終結と、これにともなう特定子会社の異動および特別損失の計上、ならびに役員報酬の自主返上について
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