たばこ世界大手米フィリップモリス・インターナショナル(PMI)のヤチェック・オルザックCEOは7月25日、メディア・インタビューの中で、英国内での紙たばこの販売を今後10年以内に中止すると発表した。同社は2016、従来型のたばこから電子たばこ等スモークフリー商品にシフトする戦略を発表しており、今回の発言もその一環。
【参考】【アメリカ】フィリップモリス、2030年までに電子たばこ等売上比率を30%に引き上げ(2017年9月29日)
【参考】【日本】フィリップモリスジャパン、紙巻たばこから撤退する新たなビジョンを発表(2017年3月21日)
【参考】【イギリス】フィリップモリス、消費者に全面禁煙を呼びかける新聞全面広告を掲載(2018年1月12日)
【参考】【アメリカ】フィリップモリス、2017年度にR&D予算の74%をスモークフリー製品に投入(2018年5月21日)
今回の発表は、英紙The Mail on Sundayへのインタビューの中で回答したもの。動画は同社のホームページにも現在掲載されている。PMIは、2013年からCEOを務めたアンドレ・カランザポラス氏が、今年5月の株主総会で取締役会議長となり、同じく2013年から最高執行責任者(COO)を務めたオルザック氏がCEOに就任。オルザックCEOは、同社が2016年に定めた経営戦略「煙のない社会」を加速していくと話していた。
同社の「煙のない社会」戦略では、喫煙そのものが健康を害するとして問題視する一方、禁煙できない人向けの代替品として加熱式たばこや電子たばこを販売するというもの。同社は代替たばこブランド「アイコス」を主力事業に成長させる考え。
英国では、保健省が2019年、2030年までにイングランド地方で喫煙率を5%未満にまで下げるビジョンを発表し、禁煙もしくは電子たばこへのシフトを提唱。同政策が、フィリップモリスの戦略とも合致しているため、同社は英国は重要な足がかり拠点として位置づけている。
一方で、電子たばこや加熱式たばこの地域も安泰というわけではない。世界保健機関(WHO)は2020年1月、ホームページ上のQ&Aコーナーの中で電子たばこについての見解を掲載。電子たばこが危険かという質問に対し「有害であり安全でないことは疑う余地はない」「特に若年者の使用には脳に悪影響リスクがある」と明言している。
また、機関投資家からも、たばこダイベストメント推進金融機関の国際イニシアチブ「たばこフリー・ポートフォリオ」の署名機関が増えており、紙たばこだけでなく、電子たばこの健康リスクにも目を光らせている。
【参考】【国際】WHO、電子たばこは有害で安全ではないと明記。電子たばこは禁止すべきとも言及 (2020年1月30日)
【参考】【国際】たばこフリー・ポートフォリオ、署名機関運用資産1200兆円に。日本からの署名はゼロ(2020年11月14日)
【参照ページ】フィリップ モリス インターナショナル、ヤチェック・オルザックを最高経営責任者に任命
【参照ページ】Philip Morris International relocates corporate headquarters to Connecticut to accelerate its smoke-free ambitions
【参照ページ】Advancing our health: prevention in the 2020s
【参照ページ】E-cigarettes and heated tobacco products: evidence review
【参照ページ】Smoke-free generation: tobacco control plan for England
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