投資運用世界大手米ブラックロックは7月13日、「インベストメント・スチュワードシップ・レポート2020-21」を発表。2021年株主シーズンでの議決権行使結果を公表した。気候変動対策の動向を理由に、合計で225人の取締役選任決議に反対票を投じたことがわかった。この数字は前年の4倍にのぼる。
反対票を投じたのは、バークシャー・ハサウェイやエクソン・モビール等の企業。さらに、気候変動が論点となった取締役選任決議や株主提案に関しても、319社に対しては取締役側の推奨と反対側の立場で議決権を行使した。この数字でも前年の5倍以上となる。特に反対票が多かったのは、エネルギー業界だった。
(出所)BlackRock
ブラックロックは今回、気候変動での議決権行使について評価条件を示している。
- 気候関連財務開示タスクフォース(TCFD)フレームワークの4つの柱すべてに対応する情報開示
- スコープ1および2の二酸化炭素排出量データの透明性
- 短期、中期、長期の二酸化炭素排出量削減目標
- バリューチェーンの脱炭素化にどのように貢献するかの明確さ(スコープ3の排出量と目標値の開示に向けた進捗状況を含む)
また、ブラックロックは、2020年から2021年の6月30日までの1年の間、気候変動と自然資本に関する企業幹部との対話を2,300回以上実施したことも明らかにした。同社は、「気候変動」「取締役会の質と有効性」「価値創造に沿ったインセンティブ」「戦略、目的、財務の弾力性」「企業が人々に与える影響」の5つを今年のエンゲージメントテーマとしていたが、「気候変動」が最多。
(出所)BlackRock
同社は、ダイバーシティも重要なテーマとして浮上しており、取締役会ダイバーシティに関する懸念から今回は975社の1,862人の取締役に反対票を投じた。また、同社は、1,327社の2,222名の取締役の再選を、独立性の欠如を理由に賛成せず、639社の758名の取締役については、コミットメントが多すぎることを理由に賛成票を投じなかった。
(出所)BlackRock
【参考】【国際】ブラックロック、2021年のエンゲージメント重要テーマ発表。長期志向に向け3つ設定(2020年12月16日)
【参考】【国際】ブラックロック、2021年のフィンク・レターで気候変動と社会格差を強調。ESG投資のリターンに自信(2021年1月28日)
【参照ページ】BlackRock Investment Stewardship A look into the 2020-2021 proxy voting year
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