デンマークのグリーンランド自治政府は7月16日、石油・ガス探査のための新規ライセンス発行を中止することを決定した。気候変動や環境への影響を考慮し、数十年続いてきた化石燃料探査政策に終止符を打った。
グリーンランドは、1979年5月に自治政府が発足し、デンマーク政府からの高度な自治権を獲得。1985年には、デンマークの一部ながらもグリーンランド自治政府は、当時の欧州共同体(現EU)から離脱。海底資源に関しても2009年にデンマークからグリーンランド自治政府に主権が移っている。
グリーンランドの海域では、西海岸沖合に約180億バレルの石油埋蔵量があることが確認されている。また東海岸にも大規模な鉱床があることも指摘されている。1970年代のオイルショック以降、グリーンランドでも石油・ガス探査が実施され、10年前にはCairn Energyが油井の掘削ライセンスを獲得。また、BPやシェブロン、コノコフィリップス、ロイヤル・ダッチ・シェル、エクイノール、Eniも2013年から探査・開発ライセンスを獲得している。
最近でも、2019年に2つの探査ライセンスを発行している。しかし、そこからわずか1年半で、新規ライセンス中止を決めた。理由については、掘削コストが当初、試掘井1本当たり約1億米ドル、油田全体開発では60億から70億米ドルとされていたが、実際には非常にコストが高まっていることを挙げた。今後は、自然環境、漁業、観光産業に焦点を当て、サステナビリティを重視していく。
グリーンランド自治政府は、2030年に再生可能エネルギー100%を目標としてい掲げている。現在発行されている探査ライセンスは4つあり、一つは、Panoceanic Energyと国営NUNAOILがデイビス海峡西部で行っているもの。残り3つは、Greenland Gas & Oilが東部Jameson Landで行っているもの。いずれも2027年から2028年に期限を迎える。
【参照ページ】Greenland ends decades-long hunt for oil with ban on new licensing
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