欧州議会は7月6日、インターネットのサービスプロバイダーが、オンライン上の児童ポルノ投稿を監視できるようにするEU指令の暫定措置案を、賛成537票、反対133票、棄権24票で可決した。同法では児童ポルノ防止と投稿者のプライバシーの相克状態にあるが、欧州議会は児童ポルノ防止を優先した。今後、EU理事会での審議に入る。
今回のEU指令改正は、2020年12月に欧州電子通信コード指令が完全導入された後も、児童ポルノ・コンテンツが社会的問題となっていることを政策目的として掲げている。そのため、サービスプロバイダーが自主的に対処措置を自発的に講じられるようにする暫定措置を決めた。同指令では、最長3年間、通信・トラフィックデータ機密性保護指令(2002/58/EC)の第5条(1)と第6条(1)を一時的に緩和する。
規制緩和の結果、児童ポルノに関するウェブデータは、ウェブメール、チャット、SNS上の画像、テキスト、トラフィックデータを特定の技術を用いてスキャンし検出することが可能となる。但し、音声データには適用されない。
今回の指令改正については、欧州データ保護監督機関(EDPS)と欧州評議会からは、プライバシー侵害の可能性があると懸念が表明。適切な苦情処理と救済メカニズムの確立を求めている。そのため、EU理事会での審議も慎重に進められるとみられる。EU理事会で可決されると官報に掲載された後、3日後に発効する。
同問題では、欧州委員会は、2021年中に包括的に対処するためのルールを提案する考え。新ルールが合意されれば、欧州議会が今回可決した規制緩和も前倒しで終了し、新ルールに移行することとなっている。
【参照ページ】Parliament adopts temporary rules to detect child sexual abuse online
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