ドイツ・ハンブルクのムーアバーグ石炭火力発電所が7月7日、運転開始からわずか6年強で運転が完全停止した。当初は2038年まで稼働予定だったが、ドイツ連邦議会で可決された脱石炭法の一環で実施された石炭火力発電所の自主停止オークションに応募し、廃炉の道を選んだ。
ムーアバーグ石炭火力発電所は、2基構成で総設備容量は1.6GW。しかし同発電所は建設当初から物議を醸してきた。発電所建設計画は、当時のハンブルク市の与党だったキリスト教民主同盟(CDU)の市長が推進したものだが、建設途中の2008年8月には、環境NGOが建設現場を占拠。緑の党も、途中からCDUとの連立に加わったことで、反対しきれず、2015年に完成したものの、EU排出量取引市場(EU-ETS)で取引価格が高騰していたため、バッテンフォールは発電から利益をほとんど生めていなかった。結果同社は2020年末以降、同発電所の発電を停止している。
また同発電所は、当初は、排熱の地域暖房供給も計画されていたが、エルベ川を横断するパイプラインの建設でハンブルク市と対立。最終的に地域暖房計画は頓挫した。また発電所の冷却水では、エルベ川の水を活用するだったが、環境NGOが抗議し、訴訟にまで発展。最終的に給水もできなくなり、冷却塔を使った回路冷却のみとなった。
ドイツ連邦政府は、連邦ネットワーク庁が、石炭火力発電所の自主廃炉オークションを実施しており、申請価格が最も安い石炭火力発電所から承認され、政府から補償金が出る仕組みとなっている。入札結果での補償額はMW当たり6.6万ユーロもの金額。将来性を見切った企業からは、オークションに参加するようになっている。バッテンフォールも全部で12ヶ所の石炭火力発電所でオークションに参加。全設備容量は4GWにもなる。
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