世界経済フォーラム(WEF)は6月30日、航空業界の持続可能なジェット燃料を対象とした新たな認証制度「持続可能な航空燃料証書(SAFc)」を創設したと発表した。世界経済フォーラムの「Clean Skies for Tomorrow(CST)」イニシアチブが開発した。同イニシアチブは、WEFの重工業2050年脱炭素化「ミッション・ポッシブル・パートナーシップ」の構成をしているイニシアチブの一つ。
SAFcは、SAFのトラッキングと検証プロセスを通じて、中央管理の帳簿で使用量を把握するためのバーチャル会計制度。電力市場におけるエネルギー属性証明書(EAC)や原産地保証(GO)と同様の仕組み。マスバランス方式を採用しており、SAFは物理的には生産工場の最寄りの工場に送られるが、他の空港でも帳簿上で使用ができるようにする。消費すると帳簿上で消込がなされ、二重使用を防ぐ。
SAFc創設の背景には、SAFの大量生産への投資を加速し、価格を低減するため、需要家に対し価値を訴求しやすい環境を整備することにある。現在のSAFは、廃食用油、農業残渣、都市ごみ等の生物由来の原料から作られており、二酸化炭素排出量をライフサイクル全体で最大80%削減できる。また、WEFによると、CCUS等で回収した二酸化炭素をカーボンリサイクルで活用して再生燃料(eFuel)を生産する「Power-to-liquid」技術も、技術的には活用でき、100%の二酸化炭素排出量削減も実現できる目処が立っているという。但し、コスト削減が可能なため、価値を訴求することで、投資を呼び込む。
同イニシアチブの参加企業は、KLMオランダ航空、アラスカ航空、アメリカン航空、ドイツポストDHLグループ、ボーイング、エアバス、ロンドン・ヒースロー空港、スキポール空港、スパイスジェット、ネステ、ロイヤル・ダッチ・シェル、SkyNRG、マイクロソフト等。同イニシアチブの加盟企業等からのフィードバックでは、SAF活用で5%から10%の航空券価格の上昇は許容できるという。
SAFcは、当初は航空業界や貨物輸送業界向けに設計されているが、順次対象を拡大していく予定。2022年以降には、SAFc実証実施の結果の反映や、排出量会計システムの最終化等も計画している。
【参照ページ】New Certificates Offer Flyers a Sustainable Fuel Option to Cut CO2
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