経済産業省資源エネルギー庁は7月6日、総合エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会の再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会の会合を開催。策定中の第6次エネルギー基本計画に向け、環境省、農林水産省、国土交通省が再生可能エネルギー発電のアクションを発表したことで、既存の計画案よりも再生可能エネルギー比率が引き上げられる可能性が出てきた。
資源エネルギー庁は当初、6月中にも第6次エネルギー基本計画を定める予定だったが、未だに収集できずにいる。背景には、環境省の交渉が奏功し、菅義偉首相は4月22日、首相官邸に設置された地球温暖化対策推進本部で、2030年までの二酸化炭素排出量削減目標を2013年度比46%減とする新目標を発表し、さらに50%削減の高みを目指すとも補足したことが背景にある。
【参考】【日本】政府、2030年のCO2削減目標を2013年比46%に設定。50%に届かず(2021年4月22日)
【参考】【日本】経産省、審議会の中で水力含む再エネ発電量を2050年に5〜6割の参考値提示。議論の叩き台(2020年12月23日)
また、再生可能エネルギーを極限まで高めることを図る環境省は6月7日、内閣官房に設置させた「国・地方脱炭素実現会議」で、「地方脱炭素ロードマップ」を採択することに成功し、再生可能エネルギー地域資源を最大限活用することが決まった。
資源エネルギー庁は、同委員会に4月7日に「2030年における再生可能エネルギーについて」を事務局資料として提出し、2030年までの現行政策と政策強化の2段階でのポテンシャルを提示。その中で、太陽光発電は現行政策で13.8GW増としたが、政策強化においては要検討としていた。洋上風力、陸上風力、地熱、水力、バイオマスについては2段階で見通しを提示している。
(出所)資源エネルギー庁
7月6日の会合では、環境省からは、太陽光発電について、国・地方公共団体が保有する設置可能な建築物屋根等の約50%に太陽光発電を導入することで6GW増、民間企業における自家消費型太陽光発電の導入で10GW増、市町村が公有地や脱炭素促進区域等で導入することで4.1GW増を提示。これにより、資源エネルギー庁事務局原案から、合計で20.1GW増の見通しが示された。
さらに同会合では、農林水産省から、耕作放棄地等の荒廃農地での太陽光発電で規制を大幅に緩和する方向性が示された。これまでは農地保護の観点から、太陽光発電への転換や併設については規制の壁があったが、農林水産省として緩和する方向へ大きく舵を切った。これにより、各自治体は、再生可能エネルギーを増強する新たな道が開けてきた。
従来のエネルギー基本計画の策定作業と異なり、今回はパリ協定や2050年カーボンニュートラル目標との兼ね合いから、先に2050年の電源構成での大まかな方向性が先に固まった。その後に2030年の具体的な電源構成を検討する流れとなったが、より目標時期が短い2030年目標については、各関係者の間で思惑が大きく食い違い、水面下で厳しい交渉が続いている。第6次エネルギー基本計画案の作成で採択までには、もう少し時間がかかりそうだ。
【参照ページ】総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第34回)
【参照ページ】総合エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第31回)
【参照ページ】国・地方脱炭素実現会議(第3回)議事次第
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