欧州委員会は7月6日、新たなサステナブルファイナンス戦略を採択した。同時に、欧州グリーンボンド基準(EUGBS)案も採択。さらに、事業会社と金融機関向けのEUタクソノミー規則第8条に基づく情報開示ルールを定めた委託法令案も可決し、同法令が成立した。
今回採択した新たなサステナブルファイナンス戦略は、全部で6つのアクションで構成している。
- 現行のサステナブルファイナンス政策を拡張し、トランジション・ファイナンスへのアクセスを容易化
- 中小企業や消費者向けのトランジション・ファイナンス活用の環境整備
- 経済・金融システムのサステナビリティリスクへの対応力の向上
- 金融セクターのサステナビリティへの貢献度の向上
- 金融システムのインテグリティを確保し、サステナビリティへの秩序ある移行をモニタリング
- サステナブルファイナンスの国際的アクションやスタンダードを発展させ、EUのパートナー国を支援
欧州委員会は、これらのアクションを2023年末までに導入することを目指し、実施状況も報告していく。
欧州グリーンボンド基準の具体的な内容は、
- 調達資金はEUタクソノミーと整合性のある資金使途に100%充当
- 配分状況についての詳細な報告を義務化
- EUタクソノミーとの整合性を保証する外部レビューを義務化。但し国債に関しては例外措置あり
- 外部レビュー提供者は、欧州証券市場監督局(ESMA)への登録・監督が義務化
今後EUグリーンボンド基準案は、欧州議会とEU理事会での審議に入る。
EUタクソノミー第8条に基づく委託法令では、事業者大手と金融大手を対象に、事業と投融資のうちEUタクソノミーと整合性のある事業割合の算出が義務化された。同委託法令の対象は、事業会社は、EU非財務情報開示指令(NFRD)の対象企業。欧州委員会は目下、NFRDの対象を拡大する企業サステナビリティ報告指令(CSRD)の立法準備中だが、CSRDが成立すると、同委託法令の対象も自動的にCSRD対象企業に拡大される。対象の金融機関は、銀行、保険会社、運用会社、投資会社。銀行に対するグリーン資産レシオの開示、保険会社と運用会社にはグリーン投資レシオの開示も盛り込まれた。
【参考】【EU】欧州銀行監督機構、EUタクソノミーに基づく「グリーン資産レシオ」開示を提言。銀行と運用会社(2021年3月2日)
EUでは気候変動に関するタクソノミーは、すでに6月4日にEUタクソノミーの気候委託法令が成立。気候変動以外の委託法令も現在立法作業中。今回の委託法令は、欧州議会とEU理事会で4ヶ月間の審査期間に入り、異議がなければ4ヶ月後に自動的に成立する。
【参照ページ】Strategy for financing the transition to a sustainable economy
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