経済協力開発機構(OECD)は7月1日、130ヶ国・地域の政府が、国際的な租税ルールを改革するための2つの柱に合意したと発表した。合意国・地域の経済規模は、世界全体のGDPの90%以上を占める。10月に詳細なフレームワークと実行計画を発表する予定で、2023年から実行することを掲げている。
今回の合意での1つ目の柱は、デジタルプラットフォーマー等の多国籍企業に対し、各国間で利益と徴税権を公平に配分すること。企業が物理的に当該国に存在しているかをとわず、事業活動を行い利益を得る市場で課税できるようにする。いやゆる「デジタル課税」と呼ばれるスキーム。具体的には、1,000億米ドルを超える利益に対する徴税は、毎年市場管轄地域に再割当てする方向で最終調整する。
2つ目の柱は、各国での最低法人税率の導入。最低法人税率は、15%を下限とし、法人税率引下げ競争を終わらせる。これにより年間1,500億米ドルの追加の税収を生み出すと推定されている。6月5日には、G7財相会合でも同様の内容で合意していた。
【参考】【国際】G7財相会合、多国籍企業への事業実施国での15%以上課税で合意。TCFD義務化も支持(2021年6月6日)
合意国・地域は、日本、米国、カナダ、英国、ガーンジー代官管轄、ジャージー代官管轄、マン島、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、イスラエル、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、香港、マカオ、中国、インド、インドネシア、パナマ、クック諸島、英領ケイマン諸島等。一方、アイルランド島9ヶ国は未参加。
一方、税源浸食・利益移転に関するOECD/G20包摂的枠組み(OECD/G20 Inclusive Framework on BEPS)の加盟139カ国のうち、不参加国・地域は、アイルランド、ハンガリー、スリランカ、ペルー、ケニア、ナイジェリア、バルバドス、エスワティニ、セントビンセントおよびグレナディーン諸島の9ヶ国。
【参照ページ】130 countries and jurisdictions join bold new framework for international tax reform
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