国連経済社会局(UN DESA)は5月21日、国連のソーシャル分野での包括的な報告書「世界社会情勢報告(World Social Report)」の2021年版を発行した。同報告書は、農村での社会開発を中心に、貧困やインクルージョンに関する統計や現状の動向について分析している。
同報告書は、2030年までに国連持続可能な開発目標(SDGs)を達成し、「誰も取り残されない」という原則を守るためには、農村開発が喫緊の課題として指摘。先進国も、発展途上国で栽培される農作物に衣食住を依存していることが多く、発展途上国の農村開発の課題は、先進国のレジリエンスのためにも重要化だとなっている。
今回の報告書では、従来の農村開発と都市化の在り方について、農村部の人口が都市部に移動する「古典的都市化」と、新たな都市を農村に建設する「グリーンフィールド都市化」ではない、第3の道として、農村にいながら都市と同等のインフラ等を享受できる「in-situ都市化」を提唱。流通、決済、リモートワーク等のテクノロジーを活用することで、新たな都市化モデルを実現させていく必要があると力説している。
また農村での貧困解決のための道筋としては、状況に応じて、価格変動の低減、技術と拡張サービスの利用促進、インフラの構築、土地権利の保証、ジェンダー平等の改善、環境マネジメント等の投資を拡大していく必要があるとした。また、農村部の貧困問題と都市部との不平等問題を解決するには、特にインフラと公共サービスへの投資が重要とした。
また環境問題では、今後の水不足リスクを指摘。2030年までに約30%の土地が水不足を経験する可能性が高く、地球の陸地の95%近くで土地劣化の問題もあるとした。そのため、水資源と土地利用に関して警鐘を鳴らした。
【参照ページ】Social protection in rural areas: achieving universal access for all
【レポート】UNDESA World Social Report 2021
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