国際労働機関(ILO)は6月21日、職場での暴力とハラスメントを禁止する初めての国際条約「暴力及びハラスメント条約(ILO190号条約)」が6月25日に発効したと発表した。2019年6月にILOの国際労働会議で採択され、2カ国以上の批准が集まり、2年を経て発効することとなった。
【参考】【国際】ILO、職場での暴力・ハラスメント禁止条約を採択。日本の使用者代表の経団連は棄権(2019年6月24日)
同条約の現在の批准国は、アルゼンチン、エクアドル、フィジー、ナミビア、ソマリア、ウルグアイの6ヶ国。ILOの諸条約は2ヶ国以上が批准した日から1年後に発効することが規定されている。批准国は批准から1年後に法的拘束力を発生する。また、ILO190号条約は、同時に法的拘束力のないガイドライン「暴力・ハラスメント禁止勧告(ILO260号勧告)」と一体となって運用される。
同条約は、職場での暴力やハラスメントは人権侵害や虐待であり、機会均等やディーセント・ワークと相容れないものと認識。意図的なものだけでなく、暴力やハラスメントにつながるおそれのあるものも同条約の対象とした。また、契約社員、インターン、見習生、退職者、ボランティア、採用応募者等も対象とした。また、「職場」とは、執務室内だけでなく、出張、イベント、インターネット上、会社提供の宿泊施設、通勤、更衣室等も含まれる。暴力・ハラスメントは「身体的、精神的、性的、経済的な損害」を与える行為、あるいは与えるおそれのある行為と定義している。
2019年の国際労働会議では、ILOの投票の仕組みである、政府代表者2票、使用者代表1票、労働者代表1票の議決権のうち、賛成439、反対7、棄権30だった。日本では、政府代表と労働者代表は賛成。日本経済団体連合会(経団連)が務める使用者代表は棄権に回った。
ILOの諸条約は、国際労働会議ので賛成・反対にかかわらず、一度採択されると、全加盟国政府は12ヶ月(特別の場合には18ヶ月)以内に自国の権限のある機関(日本の場合は国会)に提出し、この機関が執った措置をILO事務局長に通知する義務を負っている。ILO190号条約についても、日本はすでに国会に提出済み。
【参照ページ】First international treaty to address violence and harassment comes into force
【参照ページ】暴力とハラスメント
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