英通信大手ボーダフォンは6月23日、欧州全域での事業活動の電力が7月1日から100%再生可能エネルギーに転換すると発表した。携帯、固定ネットワーク、データセンター、小売店舗、オフィス等全てが対象。
同社は、2030年までにスコープ1、スコープ2で、2040年までにスコープ3含むバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を目標としている。同目標は、科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)の承認も獲得。今回のアクションもその一環。
同社は2020年7月、2021年7月までに欧州での電力を100%再生可能エネルギー調達する目標を設定。このとき、当初の2025年目標を前倒すとともに、2025年までにアフリカでも100%再生可能エネルギーに切り替えると表明していた。
2020年には、省エネや再生可能エネルギー発電プロジェクトに6,500万ユーロ(約87億円)を投資。省エネ・ネットワーク設備の導入、比較的エネルギー効率の悪い3Gネットワークからの段階的な切替え、同社コア・ネットワークでのレガシー設備の廃止等を行った。再生可能エネルギー購入比率を33%から80%へ引き上げ、次世代通信要素技術「マッシブ・マイモ(M-MIMO)」の活用。その結果、2020年はモバイルデータ・トラフィックが47%向上したにも関わらず、エネルギー消費量に変化がなかったという。スコープ1、スコープ2の二酸化炭素排出量は30%削減した。
また同社は2020年10月、サプライヤーのネットワーク入札基準に、環境・社会観点を組み入れた。評価ウエイトは20%。二酸化炭素排出量の削減や、再生可能エネルギーへの転換、プラスチック消費量の削減、サーキュラーエコノミーの推進、製品ライフサイクル等に関する環境ポリシーの策定有無を確認する。
2020年6月には、消費者での二酸化炭素排出量削減にも着手。2020年から2030年までに同排出量の累積3.5億t削減にコミットする。削減手法の多くは、同社IoTサービス活用での物流や輸送、製造等の効率改善によるもの。英環境シンクタンクのカーボントラストの算定によると、2021年会計年度における同社の二酸化炭素排出削減量は710万tで、そのうち54%はIoTの貢献によるものだという。
2021年3月には、IT・通信大手が発足した欧州環境保護デジタル連合(EGDC)にも発足企業として加盟。EUと協働し、気候変動対策デジタルソリューションへの投資を促進する。同イニシアチブには、マイクロソフト、アクセンチュア、SAP、IBM、ドイツテレコム、シュナイダーエレクトリック、オレンジ、テレフォニカ、テレノール、テリア、ノキア、エリクソン等が加盟している。
サーキュラーエコノミーでは、2025年までに同社ネットワーク関連の廃棄物を100%再利用、リセール、リサイクルすると表明済み。同社は、販売終了で過剰在庫となったアンテナ等の大型電機の再販売・再利用や、下取り・買取り・修理サービスを提供。2021年会計年度には、有害廃棄物を除くネットワーク関連廃棄物の98.7%を再利用・リサイクルし、2020年会計年度比22.5%削減している。
さらに同社は、業界での連携も強化している。2021年3月には、電気電子業界でのサーキュラーエコノミー推進イニシアチブ「サーキュラー・エレクトロニクス・パートナーシップ(CEP)」に加盟。5月には、ドイツテレコム、オレンジ、テレフォニカ、テリアと協働し、スマートフォンおよびフィーチャーフォンのエコ格付けラベルの付与を発表。消費者に対し、各端末のサステナビリティ評価の開示を進めている。
【参考】【国際】電気電子業界のサーキュラー団体「サーキュラー・エレクトロニクス・パートナーシップ」発足(2021年3月22日)
【ヨーロッパ】欧州通信大手5社、12社のスマホ端末でエコ格付。ライフサイクル全体の環境インパクト(2021年5月28日)
【参照ページ】Vodafone’s European network 100% powered by electricity from renewable sources
【画像】Vodafone
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