EUの欧州銀行監督局(EBA)は6月24日、金融機関等が発行するAT1債(Additional Tier 1債)について、サステナビリティ・リンク・ボンドでの発行は適切でないとの見解を示した。TLAC(総損失吸収力)の観点から、早期償還につながる可能性がある性質を問題視した。
今回の見解表明は、EBAが、AT1債とESG債の関係について、改正EU自己資本要求規則(CRR2)等の観点から論点を整理したレポートの中で示されたもの。ESG債の中でも、サステナビリティ・リンク・ボンドは、事前設定サステナビリティ目標(SPT)の未達成時に、債券条件が悪化する「ステップアップ」というペナルティが設定されており、これにより早期償還を行う実質上のインセンティブが盛り込まれている性格を問題視した。
EBAの見解では、AT1債は、TLAC適格性や、EU独自の制度であるMARCEL(自己資本・適格債務に係る最低要件)の観点から、資本の安定を確保するために満期まで保有さていることが前提として制度設計されているが、早期償還インセンティブを持つサステナビリティ・リンク・ボンドは、制度の要件から整合性がないとの意見を披露した。
そのため同レポートの結論としては、AT1債には早期償還インセンティブを埋め込むことは推奨されないと結論づけ、今後の重要な調査項目と位置づけ、市場の展開も注視すると伝えた。
【参照ページ】EBA updates on monitoring of Additional Tier 1 instruments and issues recommendations for ESG-linked capital issuances
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