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【ドイツ・オーストリア】BMW、タングステンの回収・リサイクル開始。超硬工具で再利用

 自動車世界大手独BMWは6月17日、老朽化したドリルやフライス等からのタングステンを回収し、同社ドイツとオーストリアの工場で超硬工具用のセカンダリー・タングステンとして再利用する計画を発表した。リサイクルは、オーストリア資源採掘大手Wolfram Bergbau und Hüttenが担う。

 BMWとWolfram Bergbau und Hüttenは、電子機器業界サステナビリティ推進機関RBA(責任ある企業同盟)の紛争鉱物フリー推進イニシアチブ「責任ある鉱物イニシアチブ(RMI)」の加盟企業。BMWは、欧州の精錬工場への現地調査も年次で実施している。

 BMWの年間スクラップ排出量は9tで、平均タングステン含有率は80%以上。今回のアクションで、同社年間タングステン消費量を7t、エネルギー消費量を70%、二酸化炭素排出量を60%削減できるという。同社はすでに、独工具製造グーリングと協働で、スクラップからドリルやフライスを製造する実証プロジェクトにも成功している。

 タングステンは、重量・硬度・耐熱性に優れた鉱物。自動車製造用のドリルやフライス等の原材料として活用される。2021年1月には、欧州委員会の通商総局(DG TRADE)が3TG(スズ、タンタル、タングステン、金)を対象に、EU紛争鉱物規則を施行。海外から4種を輸入するEU域内企業に対し、武装集団や反政府勢力が関与していないことを確認するデューデリジェンスと、デューデリジェンス結果の開示を義務化している。

【参考】【EU】EU紛争鉱物規則、1月施行。紛争地域および高リスク地域(CAHRA)リストも公表(2021年1月14日)

 同社は主に、オーストリア・シュタイア工場の電動アシストユニット製造機械でタングステンを利用。耐用年数を終えたドリルやフライス等は、通常スクラップとして販売されるが、スクラップの約半分は同工場が排出源という。

 同社は、ドイツとオーストリアの工場でスクラップを回収。現地の再生可能エネルギーを100%活用し、スクラップから粉末状の再生タングステンを生産する。その後、タングステン粉末から超硬工具を製造する。同社はすでに、同プロセスで製造したドリルやフライスを同社工場で利用している。

 同社は2012年から、サステナビリティ観点で重要な原料を特定。サプライチェーン全体での環境・社会へのインパクトを分析してきた。サプライヤーと協働し、3TG(スズ、タンタル、タングステン、金)の完全な透明性の確保を進め、2019年には、100%のトレーサビリティを達成した。さらに同社は、認証取得精錬工場も増強。同社紛争鉱物チームを通じ、サプライヤーに対し、トレーニングや情報提供も行っている。

【参照ページ】BMW Group creates closed-loop material cycle for tungsten production tools to protect valuable resources
【画像】BMW

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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