米カーボンリサイクルLanzaTechは6月15日、英政府および英脱炭素化推進イニシアチブ「サウス・ウェールズ産業クラスター(SWIC)」と協働し、アルコールからジェット燃料を生産する「Alcohol to Jet(ATJ)」技術を活用した持続可能な航空燃料(SAF)製造工場を、英サウスウェールズに建設すると発表した。商用規模のATJ技術でのSAF製造拠点は、世界初。
【参考】【EU】FLITEコンソーシアム、廃エタノールから持続可能なジェット燃料を生産する新工場建設。年間3万t(2021月1月14日)
ATJには、ブタノールから炭化水素燃料に変換するプロセスと、エタノールから変換するプロセスの2つがあるが、今回のは、エタノールからの変換。同工場では、製鉄所から排出された二酸化炭素や廃棄物等を回収、活用し、エタノールを生成。同エタノールからATJ合成パラフィンケロシン(ATJ-SPK)を年間1億t生成する。SAFのATJ合成パラフィンケロシン配合率は、30%が目標。今回の1億lからは、SAF3.3億lが精製できる。
同工場で精製したSAFは、10年以上協働する英航空大手ヴァージン・アトランティック航空に供給する。両社は2018年、英低炭素燃料開発の実証プロジェクト「Future Fuels for Flight and Freight Competition(F4C)」で協働。英運輸省は、同プロジェクトに41万ポンド(約6,300万円)拠出した。同年10月には、ヴァージン・アトランティックは、産業排気ガスをリサイクルしたLanzaTechのジェット燃料で、米オーランド空港から英ロンドン・ガトウィック空港間の商用飛行を成功させている。
LanzaTechは今後、サウス・ウェールズ産業クラスター(SWIC)と工場の追加開発を実施する。SWICは、水素経済、大規模での炭素回収・利用・貯留(CCUS)、輸送インフラ開発を進めるイニシアチブ。ロイヤル・ダッチ・シェル、バレロ・エナジー、RWE、タタ・スチール、Lightsource BP、Lanza Tech、サウスウェールズ大学、ミルフォード・ヘブン港等17団体が加盟している。
SWICは、英政府のイノベーション推進機関「UKリサーチ・イノベーション(UKRI)」の産業戦略チャレンジ基金(ISCF)を通じ、英政府のイノベーション産業助成機関「イノベートUK」が2,000万ポンド(約31億円)の助成を享受。ウェールズのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を進める。
【参照ページ】LanzaTech Part of South Wales Industrial Decarbonisation Project
【画像】LanzaTech
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