世界経済フォーラム(WEF)の「グローバル・バッテリー・アライアンス(GBA)」は6月8日、バッテリー・サプライチェーン上での児童労働を撲滅するための2021年の行動誓約を発表した。児童労働は、バッテリーの原料となる鉱物資源採掘の現場で大量に発生している。
世界バッテリー連合は1月、2030年までにバッテリーのサプライチェーンのサステナビリティを実現するための10指導原則を発表。その中でも、児童労働・強制労働の至急の撲滅を盛り込んでいた。同指導原則には日本では、本田技研工業のみが署名していた。
【参考】【国際】世界経済フォーラム、バッテリー・サプライチェーンで10指導原則策定。42機関署名。日本はホンダのみ(2020年1月28日)
今回の発表では、コンゴ民主共和国でのコバルト採掘での児童労働問題だけでなく、電気自動車(EV)バッテリー、産業用バッテリー、再生可能エネルギーの蓄電用バッテリーの大半を占める鉛蓄電池(LAB)でも違法で危険なリサイクルに児童労働が関与している問題も取り上げた。
今回発表した2021年誓約では、4つのアクションで構成する。
- コバルト調達での児童労働の撲滅とバッテリーの持続可能性基準を追跡および認証するためのデジタルの「バッテリー・パスポート」制度の開発。バッテリー・パスポートでは、企業が児童労働指標を報告することで、バリューチェーン上で児童労働に関与していないことを証明させる。
- 小規模鉱業(ASM)とその周辺のコミュニティの持続可能な開発、及びコバルトのバリューチェーンの影響を受ける人々の人権を尊重するため、コバルト・アクション・パートナーシップ(CAP)に参加。
- 鉱業コミュニティ児童労働防止基金を創設し、今後3年間で公的および民間のパートナーから2,100万米ドルを調達。
- 鉛蓄電池のリサイクルを公式化するためのベストプラクティスの採用を加速するための政策立案者の招集。
世界バッテリー連合には現在、約70の企業・機関が加盟。フォルクスワーゲン、BMW、ルノー、ボルボ、本田技研工業、BASF、LG化学、SKイノベーション、アングロ・アメリカン、エネル、ヴァーレ、グレンコア、ユミコア、Eurasian Resources Group(ERG)、トラフィグラ・グループ、ジョンソン・マッセイ、グーグル、マイクロソフト、ロンドン金属取引所、世界銀行、国際環境計画(UNEP)、国連児童基金(UNICEF)、経済協力開発機構(OECD)、国際エネルギー機関(IEA)、アフリカ開発銀行(AfDB)、ドイツ国際協力公社(GIZ)、中国五鉱化工進出口商会(CCCMC)、WBCSD、国際鉛協会(ILA)、責任ある企業同盟(RBA)、日本の環境省等が加盟している。
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