スウェーデン自動車大手ボルボ・カーズの高級EV子会社ポールスターは6月16日、米国に初の生産工場を建設すると発表した。新型車種「ポールスター3」を組み立てるため、ボルボ・カーズが2018年に米サウスカロライナ州リッジビルに開設した工場を共同利用する。ボルボ・カーズは、2010年に中国の浙江吉利控股集団(Geely)が買収した。
同社は3月、2030年までに販売車種を全て電気自動車(EV)のみに転換すると発表済み。ポールスターは、テスラの独走状態にある高級EV市場に進出するための戦略子会社。1996年の創業以来、中国に生産工場を持つが、今回初めて米国での生産に踏み出す。ポールスター3は、第1号車種「ポールスター1」と、グーグルが開発した自動車向けOS「アンドロイド・オートモーティブ」を搭載したEVの「ポールスター2」に続く第3弾の車種で、SUVタイプ。2022年に中国と米国で生産し、グローバルで販売する計画で、特に米国市場向けに設計される。
【参考】【スウェーデン】ボルボ・カーズ、2030年までにガソリン・ディーゼル車全廃。ハイブリッド車も廃止(2021年3月9日)
同社は2021年中に、米国内約25ヶ所に小売店舗を開設し、顧客が試乗できるようにする。また、無料のデリバリーサービスや出張サービスも提供する予定。
同社は、ボルボ・カーズと親会社の浙江吉利控股集団の合弁企業。4月には、中国のChongqing Changxing Equity Investment Fund Partnership、Zibo Financial Holding、Zibo Hightech Industrial Investmentが主導した最初の出資ラウンドで5.5億米ドル(約610億円)を調達している。
また、ボルボ・カーズは6月17日、スウェーデン製鉄大手スウェーデンスティール(SSAB)と協働で、二酸化炭素ネット排出量ゼロの自動車向け鋼板を共同開発することも発表した。SSAB、スウェーデン鉄鉱石採掘LKAB、スウェーデンのエネルギー大手バッテンフォールの3社は、水素還元方式で、化石燃料を一切用いない製鉄の生産を2020年に開始。今回ボルボ・カーズが、SSABのカーボンニュートラル鉄鋼を調達した世界初の自動車メーカーとなった。
ボルボ・カーズは、SSABから調達した鋼板を活用し、試験車両を開発し、コンセプトカーとして活用される予定。SSABは、2026年までにカーボンニュートラル鉄鋼の量産と商業規模販売を目指しており、同様にボルボ・カーズも自動車にカーボンニュートラル鉄鋼を採用する世界初の自動車メーカーになることを目指している。
【参照ページ】Polestar 3 will be manufactured in the USA
【参照ページ】Volvo Cars is first car maker to explore fossil-free steel with SSAB
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら