住友商事は6月18日、定時株主総会を開催。3月にオーストラリア環境NGOマーケット・フォースが提出していた気候変動株主提案に関し、可決に必要な3分の2の賛成が集まらず否決した。しかし、一部外国株主からは賛成も集まり、同社へのプレッシャーが高まっていることが明らかとなった。
同NGOが3月に提出した株主提案は、マーケット・フォースのスタッフが同社株式を保有し、株主として提案したもの。内容は、
当会社が気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同していることに留意し、当会社は、石炭、石油、ガス事業関連資産の保有量、事業規模をパリ協定の目標に沿ったものにするための指標と短期、中期、長期の目標を含む事業戦略を記載した計画を決定し、年次報告書にて開示する。」という条項を、定款に規定する。
というもの。定款変更には3分の2の賛成が必要。日本の会社法では、株主が提案できるのは議決権を行使できる事項に限定されており、企業の定款に関する事項はこれに含まれる。そのため、日本での気候変動株主提案は、定款変更が主なターゲットとなっている。
同NGOは、国際エネルギー機関(IEA)が発表しているパリ協定整合シナリオと、住本商事の事業計画が矛盾していると批判を強めている。今回の株主提案に対しても、石炭火力発電所を2021年以降新設を禁止するというIEAシナリオに対し、同社はバングラデシュのマタバリ3号機と4号機の事業参画を検討していること等を非難していた。
(出所)Market Forces
今回の株主提案に対し、住友商事の取締役会は「反対」を推奨。理由としては、同提案に含まれる内容は、すでに取り組んでおり、定款に記載する必要がないことや、個別具体的な方針等を定款に記載することは適切ではないという考えを示していた。
【参考】【日本】住友商事、石炭火力発電の建設工事請負も禁止。但しマタバリは継続示唆でNGO批判(2021年5月11日)
【参考】【日本】住友商事、石炭火力発電と一般炭鉱山の新規開発を原則禁止。バンフォンは着工(2019年8月30日)
日本経済新聞によると、今回の株主提案に対し、議決権行使助言大手では、ISSは「気候変動開示の改善に向けた市場の監視を強められる」等で賛成、グラスルイスは「提案内容が必ずしも株主の利益にならない」として反対を推奨していたという。株主では、英リーガル&ゼネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)が賛成に回った。
【参照ページ】株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ
【参照ページ】Sumitomo to face shareholder resolution at its AGM over climate inaction
【参照ページ】住友商事への株主提案提出 – 気候変動対策の改善を求め
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