欧州委員会は6月1日、欧州税務観察機関を創設したと発表した。EU加盟国やEU各機関から独立し、税務に関する最新の研究、分析、データ共有を行い、EUの税制戦略を支える。対象テーマは、脱税、租税回避、積極税務等に及ぶ。機関はパリ経済学校内に置かれ、ガブリエル・ズックマン教授が機関を率いる。
同機関の役割は、グリーン転換とデジタル移行に膨大な財源が必要となる中、確実で有効な租税を強化すること。欧州委員会では、2020年7月に税パッケージを採択し、税濫用への対策を強化し、欧州税務観察機関の創設も盛り込まれていた。2022年に「2050年に向けたEU税ミックス」に関するシンポジウムを開催し役割を終える。予算は120万ユーロ(約1.6億円)。
欧州では、欧州司法裁判所(ECJ)の一般裁判所(General Court)が5月12日、2件の法人前関連訴訟で判決を下し、欧州委員会は一勝一敗だった。具体的には、2017年のアマゾンに対するルクセンブルク政府の2.5億ユーロ課税の違法性に関する裁判では敗訴。2018年のエンジーに対するルクセンブルク政府の1.2億ユーロ課税の違法性に関する裁判では勝訴。体制の立て直しが急務となっていた。また、G7財相・中央銀行総裁会議は6月5日、多国籍企業に対し、事業実施国で15%以上の法人税を課すことで合意している。
【参考】【国際】G7財相会合、多国籍企業への事業実施国での15%以上課税で合意。TCFD義務化も支持(2021年6月6日)
【参照ページ】New European Tax Observatory to support fight against tax abuse through cutting-edge research
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